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八条学園騒動記
第六百二十八話 冷気と風その九

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「お母さんでね」
「そっちでよね」
「そうよ」
 白き牝鹿だというのだ。
「素朴で優しくてラマ教を信じる」
「そうした人達なのね」
「一生草原で過ごす」
「そうした人達ね」
「それが今の私達よ」
「成程ね、まあ今モンゴル人を恐怖の戦闘民族とかね」
「誰も思わないでしょ」
 ナンも言った。
「そうでしょ」
「ええ、草原で素朴で平和に暮らす」
「そうした人達でしょ」
「今のイメージはね」
 モンゴル人のそれはというのだ。
「昔は無敵でかつ敵には一切容赦しない」
「モンゴル帝国はね」
「一旦歯向かったら皆殺しよね」
「それがモンゴル帝国だったのよ」
 事実幾つかの街をそうしてきたしティムールもそうした、しかし従う者には寛容でありかつしきりにこのことをモンゴル側が喧伝したので広く伝わったのだ。
「かつてはね」
「そうよね、けれど今は」
「戦争もしないしね」
「草原で暮らしているだけで」
「それだけでね」
 それでというのだ。
「今はね」
「平和で素朴な」
「そして心優しいね」
 そうしたというのだ。
「人達よ」
「そうよね」
「ただのどか過ぎて」
 ナンはお茶を飲みつつ話した。
「連合の中ではね、持ってる星系は多いけれど」
「人口少ないわね」
「人口密度一番少ないしね」 
 連合の中ではというのだ。
「どうやら」
「ロシアもかなりだけれど」
「いや、ロシアはモンゴルの五十倍位の人口あるから」
「違うのね」
「もうこっちは一つの星に十万いないとかもね」
「あるの」
「皆草原で暮らしていて」 
 そこで遊牧生活を営んでいてというのだ。
「それでね」
「そんな風なのね」
「そうなの、それでね」
 自分と同じくお茶を飲むコゼットにさらに話した。
「皆草原でのんびりと暮らしていて」
「発展もなの」
「かなりね、街はそれなりでITも普通だけれど」
「国力はっていうのね」
「低いわよ、貧しいとかもね」
 連合の中で、である。
「言われるわ。市民所得も連合じゃかなり下だし」
「そのこともあって」
「そう言われるわ、発展させたいって人もいるけれど」
 それでもというのだ。
「これがね」
「中々なのね」
「皆遊牧生活が好きで」
 そうした市民が多くというのだ。
「そうした面ではね」
「モンゴルは弱いのね」
「ええ。けれどそれでもいいでしょ」
 ナンは笑ってこうも言った。
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