第三百二十八話 大晦日その二
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「神父さんと牧師さんの違いですらね」
「あまり意識されないわよね」
「これといってね」
「わからない人だっているわね」
「それで宗派が違っても」
それでもだ。
「さしてね」
「皆あれこれ言わないから」
「些細なことだから」
日本においてはだ。
「キリスト教はキリスト教」
「その考えね」
「八条学園は両方の教会があるけれどね」
カトリックとプロテスタントのだ、そして神父さんと牧師さんもそれぞれおられる。
「それでもね」
「特に揉めてないよ」
「そうよね」
「むしろ仲いいから」
その神父さんと牧師さんもだ。
「学園の中のお寺の住職さんとも神社の神主さんとも」
「天理教の教会の会長さんとも」
「皆仲いいから」
「いいわよね」
「それでいいよ」
宗教はだ。
「そんな互いに憎み合って殺し合うとか」
「よくないわよね」
「人の心を救うのが宗教だよ」
そう言われていることは僕も心に刻んでいる。
「それなのにね」
「憎み合って殺し合うとか」
「本末転倒だよ」
「本当にそうよね」
「仏教でも宗派が違っても」
それでもだ。
「そんなに意識されないしね」
「日本じゃそうよね」
「真言宗と臨済宗と浄土真宗じゃ全然違うよ」
それぞれだ。
「密教と禅宗と悪人正機のね」
「同じ宗教でも全然違うわね」
「けれど殺し合うとか」
「そんなことはないわね」
「全然ね」
日本においてはだ。
「そしてそれがね」
「いいのよね」
「一向一揆はあったよ」
戦国時代にだ。
「けれどね」
「宗派で争ってないわね」
「戦国大名に向かったから」
織田信長や上杉謙信といった人にだ。
「宗派で殺し合うのとはね」
「なかったわね」
「当時本願寺自体戦国大名みたいだったから」
石山本願寺がお城でだ、この跡地に大坂城が建てられてとんでもない難攻不落の要害になったのは歴史にある通りだ。
「言うならね」
「戦国大名同士の戦いね」
「そうだったしね」
言うならだ。
「信長さんを仏敵と言ったけれど」
「宗教戦争かっていうと」
「違ったよ」
「十字軍とかとは」
「だから戦が終わったら」
本願寺が降る形でだ。
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