暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第96話:希望を掴む為に
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存在であり、2人が互いに想い合っている事は承知している。だがそれを配慮しても、譲れない想いは翼にだってあった。颯人1人に奏の事を任せる様な事はしたくない。
「待ってください! 奏の事だったら、私も――――」
思わず颯人に食って掛かる翼だったが、彼女の言葉は颯人の怒声により遮られた。
「頼むッ!!」
「ッ!?」
「……すまねぇ。だが奏の事に関しては、俺がケリを付けたいんだ。納得できねえかもしれないが、今回だけは俺に譲ってくれ…………頼む」
颯人の気迫に気圧された翼だったが、次に彼が真剣な様子で頭を下げてきたのを見ると先程までの興奮が一気に冷めるのを感じた。
彼の様な人物が、これほどまで真剣に頭を下げてきているのだ。こんな姿を見せられてしまえば、それを拒否する事に躊躇いを感じてしまうのは致し方のない事と言えるだろう。
「…………分かりました。奏の事は任せます。ただし、絶対に奏を連れ戻してくださいね?」
「言われるまでもねえよ。…………すまねえな、我が儘言って」
「いえ、気持ちは痛いほど分かりますから……。私は雪音達の方に向かいます」
「はいよ。気を付けてな」
翼が颯人から離れて行く。その様子を見ても奏の目は颯人だけに向けられ、翼には一切向けられない。ここまで来ると寧ろ、あの目は何かを見ているのかも怪しくなってくる。
だが翼の姿が見えなくなると、奏が口を開いた。その目は確かに颯人に向けられているが、目は依然として胡乱でまるで幽鬼の様ですらあった。
「颯人……やっぱり来ちゃったんだな」
「そりゃな。ジェネシスの連中やウェルは止めなきゃならねえし、奏も連れ戻さねえといけねえしよ」
颯人の答えに奏が顔を顰めた。心を締め付けられ、精神的な苦痛を感じている時の顔だ。その顔を見るだけで、颯人の心も苦しくなる。
「何で……何でまた変身しちゃったんだよ!? お前自分がどれだけヤバい状態だか分かってるのか!?」
「何の事だよ?」
「聞いたんだよ。颯人は透とは違って戦い続けるとその内体に限界が来るって……。このまま戦い続けたら、ヒュドラみたいにファントムになっちまうって!?」
「……誰に?」
颯人には勿論身に覚えがない話だ。仮に事実だったとしても、ウィズがそれを周りに漏らすような真似はしない。その事実を誰かに告げるとしたら、それは間違いなく颯人だけだろうし、その場所は絶対に第3者の耳に届かない場所を選ぶ筈だった。
つまり、奏にそんな事を告げたのはジェネシスの誰かという事になる。颯人はそれが誰なのかが気になった。
「……グレムリンって奴。そいつが言ってたんだ……颯人はアタシが本来受ける筈だった負担を請け負ってる所為で体がボロボロになってるから、変身し続けて魔力が上がればいず
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