転んでもいいよ また立ち上がればいい
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ていた紗夜は、やがて。
「……はい」
「氷川紗夜! 貴様あああああああああ!」
トレギアの呪う声が聞こえてくる。
「何だ……?」
瓦礫から何とか抜け出せたウィザードは、そんなトレギアの様子をじっと見守っていた。
何かに突き動かされるように、トレギアの体が波打つ。やがて、その背中に光が走り始める。
「あれは……!?」
「ふざけるなあああああああああああ! たかが地球人ごときに、この私がああああ……!」
「もしかして……今なら!」
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
半信半疑のまま、ウィザードはウィザーソードガンを起動させる。ルビーの指輪を読み込ませ、炎を迸らせる。
『フレイム スラッシュストライク ヒーヒーヒーヒー』
「頼む……紗夜さん……! 戻ってくれ!」
そうして、走り出す。
ファウストもメフィストも、龍騎が取り押さえている。スイムスイムもいなければ、キャスターやほむらもやってくる様子もない。
もう、ウィザードを邪魔する者は誰もいない。
「だあああああああああ!」
全く抵抗しないトレギアの体に、スラッシュストライクが命中する。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「戻ってきてくれ! 紗夜さん!」
体内の紗夜を抑えることに必死だったトレギアは、その炎の斬撃を受け、安定させることが出来なくなった。
炎の斬撃が軌跡を描く。
振り抜いたトレギアの仮面が外れ、飛んで行く。仮面はすぐにその形を空気中に分解し、白と黒に分かれた服を着たピエロの姿となった。
そして、トレギアの肉体だったもの。
闇が抜けた体は、紗夜に。そして、ウィザードの魔法陣の残滓が出口となり、そこからココアが投げ出された。
「お、お前は……!」
現れた、トレギアの人間態。ココアと紗夜を抱き留めながら、ウィザードはピエロを睨んだ。
「やってくれるね……人間ごときが……」
「まさか、お前が……! お前がトレギアだったのか!」
これまで、何度か見滝原公園でその姿を現した青年。
ハルトに、ココアに、紗夜に、日菜に接触した、あのピエロだった。
「霧……崎……!」
それは、紗夜の言葉。
ウィザードの肩にしがみつきながらも、彼女は弱々しくトレギアの人間態を睨んでいた。
霧崎と呼ばれたピエロは、歪めた表情で紗夜を睨み返す。
「氷川紗夜……何のつもりだい? 今すぐ私のもとへ戻るんだ。妹に勝つだけの力を、私は君に与えることができる」
「……もう、あなたには騙されない……」
力なく起き上がった紗夜は言い放った。
「あなたに唆されたら、私は……永遠に日菜に勝てなくなる……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ