第六十六話 好き嫌いその十
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「そもそも」
「普通のお家で、ですね」
「ええ、教会に生まれていたらわかるけれど」
後を継ぐ為にです、教会に生まれますと後を継ぐ為に講習まで受けさせてもらうことが常なのです。
「おみちにいさんでいこうと思って?」
「はい、それに」
「それに?」
「先輩にお会いしたからですよ」
「何でそこで私が出て来るのよ」
全くわかりませんでした。
「どうして?」
「あっ、それは」
「私阿波野君に会ったの去年よ」
高校三年生の時でした。
「阿波野君が入学したその日だったわね」
「そうでしたね」
「その時からだったけれど」
「まあその時から色々勉強して」
そうしてというのです。
「今の考えに至るんです」
「この一年で随分変わったのね」
「はい、ただもう中二の頃にです」
「その頃になの」
「奥華の詰所がある母屋の近くのお好み屋さんで食べていまして」
「ああ、あそこね」
私も心当たりがあります、何度か入ったことがあります。
「あそこでなの」
「はい、食べていたらお話聞きまして。そのお話している人が」
私をじっと見て言ってきます、どういう訳か。
「滅茶苦茶可愛くて教会の娘さんって聞いてこんな可愛い娘いるんだなって思いまして」
「女の子で決めたの?」
「それがきっかけで」
それでというのです、言われてみますと阿波野君が女の子にうつつを抜かすとか色仕掛けに騙されるとかはないです。
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