第十九話 両親と姪の会話その七
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「これからは」
「それじゃあね」
咲は父の言葉に頷いた、そうしてだった。
そのまま残って実際に酒を飲みながら愛と両親を交えて話した、飲んでからの話は確かに砕けたもので。
襟はより開かれていた、愛は飲みながらこんなことを言った。
「お酒で充分でしょ」
「何が充分なの?」
「楽しい気持ちになることはね」
咲の母にストロング系のレモンを飲みつつ話した。
「ドラッグなんてね」
「覚醒剤とかね」
「特に覚醒剤よ」
これはというのだ。
「何でやるかわからないわ」
「覚醒剤は怖いわよ」
母は焼酎を飲みつつ真剣に応えた。
「手を出したらよ」
「心も身体もボロボロよね」
「そうなるわよ」
こう姪に話した。
「廃人になって寿命もね」
「縮まるわよね」
「骨がボロボロになるのよ」
それならというのだ。
「歯もなくなったりしてね」
「そうなるならね」
「寿命が縮まることもね」
このこともというのだ。
「当然よ」
「やっぱりそうよね」
「あんなものはしたら駄目だ」
咲の父はウイスキーのロックを飲みながら愛に話した。
「叔父さんなんか煙草も吸わないだろ」
「うちのお父さんもね」
「あいつも昔からだ」
自分から見て弟になる彼のことも話した。
「お酒は飲むがな」
「煙草はね」
「身体に悪いだけだからな」
「そう言ってるわ」
「そうだ、煙草ですらそうでな」
「ドラッグはね」
「余計にな」
それでというのだ。
「やったら駄目だ、覚醒剤なんてな」
「命縮めるだけよね」
「身体も心もボロボロになる、ただ終戦直後まで合法だったんだ」
「そうみたいね、ヒロポンとかいって」
愛も応えた。
「それでね」
「それで煙草屋で売られていたんだ」
「やってる人もいたのよね」
「台湾統治は阿片を合法にして総督府の専売にして免許がないと吸えない様にしたんだ」
咲の父はこの話もした。
「そうして新しい免許を出さない様にして」
「そうしてだったの」
「阿片を時間をかけてなくしたんだ」
「そんなことしてたの」
「確か満州でもな」
そちらでもというのだ。
「そうしていたんだ」
「そうだったのね」
「ただ覚醒剤は合法で」
再びこちらのことに話を戻した。
「やっている人もいたんだ」
「大阪の作家さんで織田作之助って人がいたけれど」
咲の母も言ってきた。
「この人もやっていたのよ」
「夫婦善哉の人ね」
愛は織田作之助と聞いてすぐに作品名を出した。
「あの人ね」
「そう、あの人は結核で死にそうで」
「それで覚醒剤打っていたの」
「もう何とか力出してね」
覚醒剤にはこうした効用がある、体力を回復させるのではなく無理に生命力を引き出して燃え上がらせる
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