無双龍
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中指に付けた指輪を読み込ませた。
トレギアに魔法を使うための指輪。
それは、これまで聖杯戦争で一度も使ったことがない魔法。
『エンゲージ プリーズ』
「これは……ッ!」
「よし! 成功だ!」
トレギアの体に、魔法陣が発生する。
それは、相手の精神___心の世界に入り込むための魔法。
本来は、絶望したゲートと呼ばれる人間を助けるための魔法だが、今回はトレギア……正確には、その体である紗夜の心に入るための魔法となっている。
「紗夜さん……! 今助ける!」
ウィザードはそう言って、魔法陣へ駆け込む。
だが。
「させるか!」
寸前で、トレギアが叫ぶ。
初めて聞いた、トレギアの尖った声。それは、黒い雷として帰って来た。
トレギア自身ごと、黒い雷の洗礼を浴びる。ドラグレッダーの拘束を解きながら、ウィザードの接近も妨害したのだ。
「ぐあっ!」
まさか、抵抗できるとは思わなかった。
ウィザードの上に振って来た無数の客席。それは、ウィザードを動かさまいと、下半身を完全に固めてしまった。
「まずい……!」
魔力が安定しない。
トレギアにかけたエンゲージの魔法が解かれつつある。
このままでは、紗夜の心に入れなくなる。
その時。
「これ……ッ!」
ウィザードにも聞き覚えのある声。
何で逃げなかった。そう、思ってしまう。
ココアが、ウィザードが倒れている客席の山の、ほんの反対側にいる。
戦っている内に、逆にココアに近づいてしまったようだ。
「ココアちゃん……!? なんで……」
「あれって……紗夜ちゃん……!?」
瓦礫の山のせいで、ココアからウィザードは見えていないようだ。彼女はただ、トレギアの顔に浮かび上がる紗夜の幻影を凝視している。
『保登……さん……!』
トレギアの顔に、紗夜の姿が浮かび上がっては消える。
「もしかして、紗夜ちゃん、あの悪い人に囚われているの?」
「理解力高いな……じゃなくて、ココアちゃん! 行かないで!」
「紗夜ちゃん!」
「ダメだ! 危ない!」
飛び出そうとするココアを、ウィザードは抑えようとする。
だがココアに、動けないウィザードの手が届くはずもない。
ウィザードが止める間もなく、ココアの体は、エンゲージの魔法陣へ突っ込んでいった。
やがて、魔法陣の消滅とともに、ココアの姿は、トレギアの中へ消えていった。
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