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物語の交差点
とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
水車小屋にて
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げ「アイデンティティ?」


ケイトが意味深な発言をしたそのとき。


ほのか「れんげちゃん、足元に虫がいるよ!」

れんげ「おー!」


ほのかがれんげの足元に小さな虫が止まっていることに気づいた。


ひかげ「おお、ハンミョウだ。栗ちゃん、たしかこいつの別名は『ミチオシエ(道教え)』だったよね?」


ひかげが虫を検分しながら渚に尋ねた。


渚「ご名答。ハンミョウ科の昆虫は人が近づくとその進行方向に移動する習性があってね、その姿が道案内をしているように見えることから『ミチオシエ』とも呼ばれているんだ」

一穂「そうなんだ。栗ちゃん本当によく虫のこと知ってるね」

渚「いやいや、私が知ってるのは図鑑に載ってる範囲内だけですよ」

なっつん「でもそれって図鑑の内容を全部覚えているってことでしょ? すごいじゃん!」

渚「そ、そうかなあ…?」


しばらくするとハンミョウが動きだした。


なっつん「このハンミョウ、どこまで行くんだろ?」

蛍「気になりますね」

一穂「せっかくだし後を追ってみる?」

小鞠「いいかも!」

ほのか「面白そう!」


のんのん勢の中ではハンミョウを追うことがすっかり決まったようだ。


葉月(あれ?この感じ…。)

樹々「栗ちゃん。この光景、懐かしい気がしない?」

渚「うん、前にこんなことあったよね」

空「」ウン


一方のスケブ勢は奇妙な既視感(デジャブ)に囚われていた。


渚「だけど楽しみだよね。このハンミョウが次はどんな場所に私たちを連れて行ってくれるのか…」

木陰「栗ちゃんって案外ロマンチストよね」

渚「そう?17年生きてきて初めて『ロマンチスト』って言われた気がするんだけど」

なっつん『おーい!』

れんげ『早く来るーん!』

渚「お?」


れんげたちの呼び声でスケブ勢は我に返った。まっすぐに延びた道の先でなっつんとれんげが手を振っている。


ケイト「ミンナ先に行っテましたねー」

なっちゃん「栗原センパイ、あたしたちも行きましょう!」

空「」ウンウン

渚「そうだね。……れんげ君ごめんね。今行くよー!」タタッ


少し遅れてスケブ勢もようやく移動を開始した。




ミチオシエこと冒険の案内人「ハンミョウ」。
ーーー果たしてどんな世界へ一行を(いざな)うのだろうか。
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