切り札
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い。このままここで氷川紗夜の精神が消えていくのを見届けるがいい」
『日菜……!』
何度も現れては消えてを繰り返す紗夜の幻影。それは、目に入るたびに、ウィザードの動きと判断を鈍らせていく。
だが。
「きっと……まだ、可能性は……!」
___今は氷川紗夜の心は完全に封印している。彼女の意識はもうないよ___
「っ!」
さっき、通路でトレギアはそう言った。
「もしかして……」
一縷の望みにかけて、ウィザードはその指輪を取り出した。
ウィザードの顔が描かれた、黄色の指輪。見滝原に来てからまだ一度も使っていないその指輪を、ウィザードはぎゅっと握りしめる。
だが、トレギアは一切警戒の様子を見せない。
「何を企んでいるかは知らないが、君にはその手段を用いることはできないよ。このままここで潰えるのだから」
トレギアの言葉を合図に、二体のヒューマノイドが襲ってくる。
ウィザードは応戦するが、度重なる連戦による疲れもあり、いとも簡単に追い詰められていく。
ファウストの光弾、メフィストの熱線。その二つにより、ウィザードの体から火花が散る。
「さあ……! 絶望しろ。そしてそのまま……消え去れ」
トレギアが再び、トレラアルティガイザーの発射体勢に入る。
もうダメだ、とウィザードが面の下の目を閉じた時。
「まだだ! 俺たちは諦めない! この戦いを、終わらせるまでは!」
突然割り込んできた、強い声。
同時に、散らばったガラスの破片より、それは飛び出した。
巨大な銀の機械。前輪に一つ、後輪に二つのタイヤを持った巨大なバイクで、それは三体の闇のヒューマノイドを跳ね飛ばし、ウィザードの前に止まる。
「え?」
いきなりの世界観に似合わないマシンの登場に、ウィザードは言葉を失う。
やがて、そのマシンが開く。
ガラス製のキャノピーが持ち上がっていき、その内側より赤が現れる。
見覚えのある鉄仮面。龍騎の姿がそこにはあった。
「ミラーワールドから探し回ったぜ。大丈夫か? ハルト」
「あ、うん……」
ウィザードへ手を差し伸べる龍騎。ウィザードは頷いて、その手を取った。
「ライダー……とんだ邪魔をしてくれる……!」
「へへっ! どんなもんだい!」
龍騎は鼻をこすりながら肩を鳴らす。
「お前みたいな悪い奴はな! 徹底的に懲らしめてやんなきゃダメなんだよ!」
「わ、悪い奴って……」
ぐうの音も出ないほどの正直な感想に、ウィザードは脱力した。
「でも、アイツの中には紗夜さんが」
「分かってる! 何とか助けるんだろ? 方法はまだ分からないけど、とにかく探す!」
龍騎はそう言って、ベルトのカードデッキからカ
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