切り札
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トレギアの体に、紗夜の輪郭が浮かび上がった。
『日菜……』
「ッ!」
まるで蜃気楼のように重なるそれは、ウィザードの動きを止めるには十分だった。
「おや? どうしたんだい? ウィザード」
闇の二体の肩を抑えながら、トレギアがウィザードを殴りつける。
「っ!」
痛みによって我に返り、ウィザードは即座に反応。彼の腕を払い、ソードガンでトレギアに斬りつけ___
『助けて……』
再びウィザードの腕が止まる。
彼女の顔がウィザーソードガンのほんのすぐ下に出現する。
「……!」
「ほらほら?」
黒い雷が渦巻く腕が、ウィザードの面を叩き潰す。物理面に強いはずの土のウィザードにダメージを与えるそれによって、ウィザードの意識が飛びかける。
「どうした? 氷川紗夜の姿が見えて攻撃できないかい?」
「このっ……!」
『ディフェンド プリーズ』
ダメージを受けながらも、ウィザードは防御の指輪を使う。
接近されたトレギアとの間に現れた土壁により、ウィザードへの爪は軌道を反らした。
「卑怯者がっ!」
激昂したウィザードは、掌底を放つ。土の壁によって紗夜の幻影を見ることなく、その体い打撃を与えた。
「……へえ? 見えないなら氷川紗夜を傷つけてもいいんだ?」
「違う!」
ウィザードは叫びながら、ウィザーソードガンを開く。
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
ウィザーソードガンが魔力詠唱を始める。
ウィザードは、今の自分が持てる最大の魔法を選び、そこに読み込ませた。
『グラビティ プリーズ』
最大の重力を、ウィザーソードガンの刃を支配する。黄色の魔力が、銀の刃に幾重にも重なっていく。
「紗夜さんをこれで……引き戻す!」
ウィザードはそのまま、トレギアの肩へ斬り込む。
重力によって、トレギアの体内は滅茶苦茶に捻じ曲がる。その中で、紗夜を引っ張り出そうとしたが。
「そんなもの……無駄だ!」
トレギアの雷が、全てを一蹴した。
吹き飛ばされたウィザードは、なんとか膝を折らずに立ち尽くす。
「手段がないからって、物理的に私から氷川紗夜を引っ張り出そう? そんな手段が通じる相手だと思ったのかい?」
トレギアはほくそ笑む。
「だったら……無力を知って絶望するんだね」
さらに発せられるトレラアルティガイザー。
土の防壁をやすやすと破壊し、ウィザードを大きく吹き飛ばした。
「がっ!」
トパーズの面の下で吐血するウィザード。
せせら笑いながら、トレギアは一歩、また一歩と近づいてくる。
「諦めたまえ。今の君には、もう彼女は救えな
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