切り札
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、俺は結局……」
「……ハルトさん?」
「え?」
一瞬、ココアがこっちを見つめていた気がした。
それは、すぐにウィザードは意識を取り戻させる。
(そんなはずはない……! ココアちゃんに俺の正体が知られているわけが……!)
そして、同時に現実の判断を急がせた。
「! 危ない!」
ウィザードはすぐさま、ウィザーソードガンを発砲する。
ウィザードの意思で自在に動く銃弾は、そのまま彼女たちの背後から迫るメフィストの肩に命中し、動きを防いだ。
すると、メフィストは改めて、ウィザードへ狙いを絞る。
「……!」
「早く逃げて!」
『ランド プリーズ ド ド ド ド ド ドン ドン ド ド ドン』
座席の中から起き上がりながら、ウィザードはエレメントを風から土へ。
即座に、右手の指輪を切り替える。
『ドリル プリーズ』
魔法の力で、自らの体を回転させる。まさにドリルとなり、地面へ潜る。
そのままチノの下から、瓦礫を全て持ち上げた。
「大丈夫?」
「……!」
モカはウィザードには目もくれず、倒れているチノを抱き寄せる。
恐る恐るウィザードを見上げ、
「……助けて、くれたの?」
と尋ねた。
ウィザードは瓦礫を脇に置き、頷く。
「いいから、早く逃げて!」
「は、はい! ココア!」
「う、うん!」
チノを背負ったモカは、ココアとともに出口へ急ぐ。
だが。
「お姉ちゃん危ない!」
ココアが叫ぶ。
モカが出口に差し掛かる寸前、出口が崩落。モカの目の前で粉塵が舞い、彼女たちも閉じ込められてしまった。
「そんな……!」
絶望的な声を上げるモカ。彼女はチノを背に回し、ウィザードたちへ向き直る。
「……っ!」
きっとこちらを睨むモカ。彼女にとっては、きっとウィザードも闇のヒューマノイドたちも変わらないのだろう。
そことなく寂しさを感じながら、ウィザードは彼女に背中を見せる。
「……? 助けてくれるの?」
モカが半信半疑な声をかけてくる。
だがウィザードは、固い声を作って言った。
「ここにいる人のことは、誰一人信用しないで下さい」
「え?」
「俺も。アイツらも。あなたは、妹さんとみんなで逃げ切ることだけを考えてください」
「……?」
モカの言葉が無くなった。
それを肯定と受け取った土のウィザードは、静かに二体の闇へウィザーソードガンを構える。
やがて、二体の闇のヒューマノイドが歩み寄るが、その動きは、より深い闇の出現に阻まれた。
「やあ。苦戦しているようだね」
「トレギア……!」
ウィザードは、トレギアを恨めしく睨む。
だが、そんな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ