切り札
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「遅かった!」
逃げる人々に逆走しながら、ハルトは唇を噛む。
すでに二体の闇のヒューマノイドは、ライブ会場を火の海に変えている。あちらこちらから瓦礫が落下し、更なる大混乱に陥れていく。
綺麗に整頓されて並んでいたはずの客席も、瓦礫や破壊によってところどころ穴だらけ。ドームの中心に作られたステージも、あらゆるものが薙ぎ倒され、見るも無残な姿になっている。
「これ以上はさせない……! 変身!」
『ハリケーン プリーズ』
緑の風が、走るハルトの前に魔法陣を作り上げる。
魔法陣を潜ったハルトは、そのままウィザードに身を変えていた。
同時に、また新たな天井の崩落が発生する。
しかも間が悪いことに、その落下先には、逃げ遅れた人々が残っていた。
『キャモナスラッシュシェイクハンド バインド プリーズ』
捕縛の魔法をウィザーソードガンに乗せて発砲する。すると、天井に蜘蛛の巣状に張り巡らされた網が、落下する瓦礫を支えた。
「早く逃げて!」
風に乗り、浮遊しながらウィザードは叫ぶ。
人々はウィザードに目もくれず、一目散に逃げていく。
見送って安心したウィザードは、すぐ背後からの敵意を避ける。
「__________」
振り向いた顔面に、すぐ接近するのは、無機質な顔。黒い眼差しを持つそれが、メフィストだということはさっき覚えた。
「_________!」
メフィストの腕の鉤爪が、ソードガンの銀とぶつかる。空中で何度も激突を繰り返し、やがてウィザードはメフィストを蹴り離した。
「うわっとと……」
だが、反動で着地に失敗し、躓く。
さらに、そこへもう一体の闇のヒューマノイドの攻撃が重なる。
ファウスト。
ピエロのイメージを切って離せないそれはバク転を繰り返し、ウィザードの顔を蹴りつけた。
「ぐっ……! このっ!」
負けじとウィザーソードガンで応戦するが、まるで流れるような身体能力に、ウィザードはファウストを捉えることができない。
それどころか、彼の足技がウィザーソードガンを絡め捕り、ステージの方へ飛ばされてしまった。
「えちょっ……!」
さらに、そこにメフィストの攻撃も加わってくる。
ウィザードは素手で二体の攻撃をいなす。だが、風のウィザードであっても、二体の攻撃を防ぐことはできない。
メフィストの武器、アームドメフィストがウィザードの鎧を貫く。
「っ!」
転がったウィザードに、さらに軽やかなステップのファウストが迫る。ウィザードの顎を蹴り、さらにドロップキックで大きく後退させた。
「だったら……!」
痛みに耐えながら、ウィザードは次の魔法を取り出す。
『
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