第百六話 夏侯惇、妹を救うのことその九
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「彼女達は消していきましょう」
「おい、それは俺達がやるぜ」
「ですから時間がないのです」
于吉が言うのはこのことだった。
「ここは私に任せて欲しいのですが」
「何だ?戦いを止めろっていうのか」
「はい」
まさにだ。その通りだというのだ。于吉は社に言い切った。
「その通りです」
「今は敵を少しでも減らすことか」
「既にこの山の放棄が決定しています」
それが決まったというのだ。
「山に何があるかも。彼等に知られましたし」
「こうして敵も来たしか」
「はい、この山を出ます」
于吉は社に話す。
「そうします」
「わかった。なら次の場所だな」
「赤壁に向かいましょう」
「赤壁!?」
その言葉にだ。クリスと戦っている夏侯淵は。
眉をぴくりと動かした。しかしそれ以上言う余裕はなかった。
彼女達にだ。于吉は。
兵馬妖の弓兵達を出してきた。そうしてだった。
「さて、覚悟して下さい」
「ううん、もう少し楽しみたかったけれど」
「こうなっては仕方ないわね」
クリスもシェルミーもその彼等を見てだ。
引き下がった。そうして言うのだった。
「それならね」
「于吉に任せてね」
「はい、お下がり下さい」
二人に告げた。それを受けて。
二人がだ。まず闇の中に姿を消したのだった。
それを見てだ。社もだった。
「じゃあ俺もな」
「それでは」
「釈然としないがいいさ」
受け入れるというのだった。
「あんたに任せるさ」
「そうして頂けると何よりです」
「まあ次もあるしな」
「はい、では」
「赤壁で会おうぜ」
そうしましょう。
こうしたやり取りの後でだった。社も闇の中に消えた。それを見届けてからだ。
于吉はだ。夏侯淵達を見てだ。そうしてだ
そのうえでだ。兵馬妖達に言うのだった。
「さて、まずは彼女達をです」
「・・・・・・・・・」
「倒して下さい」
こう言ってだった。それでだ。
弓で狙わせる。それで倒そうとする。
既に彼等は四方八方から迫っている。その彼等を見てだ。
典韋はだ。夏侯淵に言うのだった、
「どうしますか」
「どうするもないだろう」
これが夏侯淵の返答だった。
「最早な」
「じゃあここで」
「潔く散ろう」
こうだ。夏侯淵はその典韋に話した。
「このままな」
「わかりました」
こう答えてだった。典韋もだ。
覚悟を決める。今まさに無数の弓が放たれようとしている。
だが、だ。ここでだ。
「秋蘭!流琉!」
「!?まさか」
「この声は!」
「どけ!」
夏侯惇だった。彼女がだ。
その大剣を手にだ。兵馬妖達を薙ぎ倒しだ。
そのうえで二人のところに駆け付けてだ。こう言うのだった。
「間に合ったな!」
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