第一章
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女の子は美少年
浅井宏美は黒髪をワイルドな感じでショートにしている、背は一五八位ではっきりした黒めがちの目で大きな耳が目立っている。
唇はきりっとしていて微笑んでいて顎が少し尖っていて色白だ、すらりとしたスタイルで脚は長めだ。
通っている高校の演劇部に所属しているが今度の劇で先輩達からこう言われた。
「あんた今度ズボン役ね」
「フィガロの結婚やるからケルビーノね」
「それの役お願いね」
「歌劇だけれど普通の劇でやるけれど」
「お願いするわね」
「ケルビーノってどんな役ですか?」
宏美はこのことから問うた。
「一体」
「男の子よ」
「やけに女性キャラに興味のあるね」
「美少年だけれど女性が演じる役なの」
「モーツァルトの歌劇ではっきり決まってるの」
少年だが女性が歌って演じる役だというのだ。
「それでなのよ」
「宏美ちゃんにやって欲しいの」
「男の子じゃなくてね」
「女の子に」
「そうですか、けれど私これまでは」
宏美は先輩達に考える顔で答えた。
「そうした役は」
「やってこなかったわね」
「いつも女の子の役だったわね」
「女の子だったし」
「そうだったわね」
「はい、それがですか」
今回はと言うのだった。
「男の子の役ですか」
「途中女の子の服も着るけれどね」
「その辺り色々複雑だけれどね」
「作品の中では男の子よ」
「けれど女の子が演じる役で」
「宏美ちゃんがいいと思うからね」
「それで言うのよ」
今そうしているというのだ。
「私達も配役考えたけれど」
「部員の中じゃ宏美ちゃんが一番似合うと思ったから」
「外見がボーイッシュな感じだから」
「それでね」
「まあ髪の毛短くしてますし」
宏美自身言った。
「それで胸もないですし」
「まあ胸は置いておいて」
「脚奇麗だしね」
「ズボンも似合うと思うし」
「だからなの」
「演じて欲しいの」
「そうですか、まあどんな役でも演じたいですし」
宏美はそうした考えなのだ、どんな役でも演じられればそれでいいのだ。もっと言えば舞台に関われるのならよく裏方の仕事も積極的に行っている。
「それじゃあ」
「ええ、頑張ってね」
「衣装はちゃんとあるから」
「その衣装も着て」
「そうしてね」
「やらせてもらいます」
宏美ははっきりとした声で答えた、そしてだった。
そのケルビーノという役を調べて衣装も着てみたが。
十八世紀の貴族の服で下はタイツだった、そのタイツ姿が先輩達だけでなく同級生達も口々に言った。
「いや、随分と」
「スタイルがいいわね」
「ええ、これはね」
「タイツ抜群に似合っていて」
「美少年ね」
「これはまた」
「あの、何か」
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