第二章
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「あれしろこれしろとも言わないで」
「悪口や意地悪もしないし」
「我も張らないから」
「本当にいいな」
「人を押しのけてでしゃばるとか絶対にないから」
「もう野党の女の議員なんてな」
ある男子生徒が国会の話をした。
「池田さんの逆だから」
「本当に真逆だよな」
「刺々しくていつも怒った顔で」
「人に文句ばかり言ってな」
「それで人の話なんて聞かなくて自分の主張ばかりで」
「どう見ても性格悪い奴ばっかだし」
「あんな連中と比べたら」
それこそというのだ。
「池田さんがどれだけいいか」
「癒されるって貴重よ」
「本当にね」
彩に内緒でこうした話をした、だが彩自身はそんな話が為されていることは知らなかったそれでだった。
自分がどうして人に好かれているのかわからないままだった、しかし母も娘にテレビを観ながら言った。丁度国会中継をしていた。
「この人どう思うかしら」
「えっ、この人また出てるの」
彩はテレビを観て思わず言った。
「もう何て言うか」
「嫌でしょ」
「この人って」
丸く小さな死んだ魚の様な目をして面長でやけに歯が出た黒髪をショートヘアにしている野党の女性議員だった。
「人にあれこればかり言って」
「お母さんもこの人嫌いよ」
「ちょっと」
悪口を言わない彩はここで言葉を止めた、だが母は言った。
「雰囲気悪いわね、だからお母さんは嫌いなの」
「そうなのね」
「というかこの人前科あるのよ」
逮捕されたことがあることを言うのだった。
「それでこれよ、我ばかりで中身もなくてね」
「それで嫌いなのね」
「彩はこんな人とは全然違うのがね」
こう娘に言うのだった。
「お母さん嬉しいわ」
「そうなのね」
「ええ、だからこんな人にならないことよ」
国会で他人を責めてばかりのその女性議員を見て娘に話した。
「というか前科持ってるのにね」
「逮捕されたことがあって」
「よくこんなに人に言えるわね」
こうも言うのだった。
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