第三章
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「どちらも結構食べるから」
「そういえばあんたお茶漬け好きよね」
姉の友香が言ってきた。
「子供の頃から」
「だから海苔も梅もね」
「よく食べるのね」
「鮭もね」
こちらもというのだ。
「好きでね」
「それで私達にもなのね」
「交換してみてって言ったんだよ」
「そうなのね」
「そうだよ、お茶漬けのこだわりなんてね」
それこそというのだ。
「もうどれを食べてもね」
「美味しいからだね」
新平はその梅の茶漬け、彼が贔屓でなかったそちらを食べつつ言った。
「そうだね」
「そうです、ですから」
春樹は新平にも言った。
「そんなことで喧嘩するなんて」
「おかしいんだね」
「そうですよ」
「まあね、そう言われたらね」
友香も海苔茶漬けやはり贔屓でない方を食べつつ言った。
「小さなことね」
「そんな小さなことで喧嘩するなんて」
それこそとだ、春樹はさらに言った。
「バカバカしいよ、だからね」
「そうしたことで喧嘩をしないで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「仲直りしたらいいよ」
「そうね。こうして食べてみるとね」
「よくわかるよ」
新平も言ってきた。
「お茶漬けのこだわりなんて小さいよ」
「そんなことで夫婦喧嘩するなんてね」
「馬鹿馬鹿しいよ」
「ずっとそっぽを向き合うなんて」
「そういうことでね。折角二人共好き同士で結婚して一緒にいるんだから」
それならとだ、春樹は言った。
「些細なことで喧嘩しないで」
「いつも仲良くだね」
「そうしたらいいのね」
「そうだよ、好みや癖や趣味の違いなんて普通にあるから」
夫婦でもというのだ。
「そんなことは気にしないで」
「そうしてだね」
「やっていくことね」
「そうだよ、じゃあお茶漬け食べ終わったら」
「帰ろうか」
「そうしましょう」
「そうしようね」
春樹は最後はにこりと笑って言った、そうしてだった。
夫婦はその場で仲直りした、以後お互いのそうした違いについては認め合ってそうして幸せに過ごしていった。このことは夫婦にとっても春樹にとっても後でいい思い出になった。
若夫婦の喧嘩 完
2021・4・6
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