第二章
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「人を率いて教える」
「ああ、士官のか」
「士官になる教育か」
「そのことか」
「管理職だけれどな」
他の役所や民間ではというのだ。
「それだけじゃなくてな人に教えるな」
「そのことか」
「居蔵はそのことを言うんだな」
「そうなんだな」
「ああ、入隊前に先生に言われた」
高校の時にというのだ、福田との話のこともした。
「それもな」
「士官、幹部はか」
「人に教える立場でもあるってか」
「率いるだけじゃなくて」
「責任を取ってな、それで学校の先生にもな」
自衛隊の幹部はというのだ。
「似ているってな」
「言われてみればそうだな」
「その通りだな」
「それじゃあな」
「俺達もか」
「ああ、卒業して正式に所属して」
それぞれの自衛隊にだ、防衛大学で学びそこから陸空海それぞれの自衛隊に進むのだ。それぞれの軍の士官学校がある他国とはそこが違うのだ。
「そこでな」
「学校の先生にもか」
「俺達はなるんだな」
「そうなるんだな」
「そう言われたけれどその通りだな」
まさにとだ、居蔵は言った。
「そこは」
「そうか、先生か」
「幹部になるんだってことは教わってるけれどな」
「幹部は先生でもあるんだな」
「そのこと覚えておくな」
「ああ、そのつもりで俺もここにいるな」
防衛大学で教育を受けていくというのだ。
こう話してだった、そのうえで。
居蔵は防大の四年間を過ごした、先輩は厳しく自分が先輩になった時はあれこれと指導もした。その中で幹部というものがわかってきたと思った。
だが本格的には入隊してからだった、彼は陸上自衛隊に進んだが。
入隊すると多くの部下を率いてだった。
一人一人の面倒を管理職として見てまた若い兵士の話を聞いたりして何かと指導もした、それでだった。
中隊長の村川茂雄、部内から昇進して一尉になった彼にこう言った。
「いや、こっちに入ってです」
「そしてか」
「わかりました」
幹部のことがというのだ。
「本当に率いて責任を取るだけじゃないですね」
「それにな」
「はい、教えてです」
「相談にも乗るな」
「何かと。それでです」
村川、もう四十代後半で白髪があり四角い顔の彼に話した。
「学校の先生に似ていますね」
「それ言う人いるな」
「実は入隊前に言われたんです」
村川にもこのことを話した。
「高校の担任の先生に」
「そうだったか」
「はい、それで」
居酒屋で話をしている、ビールを飲みながら話した。
「そうなのかって思っていたら」
「入隊したらか」
「本当にわかりました」
「幹部は学校の先生か」
「はい」
この仕事と一脈通じるというのだ。
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