壊されていくライブ
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嘆くココアをなだめるのは、ココアの隣のモカ。
「それより、日菜ちゃんの出番まだかな? 私、知り合いに芸能人っていないから、ちょっとソワソワしてるんだよね」
「私もだよお姉ちゃん! 日菜ちゃんの出番、楽しみだなあ!」
「おお、落ち着いてください。えっと、パステルパレットは……もう少し後ですね」
チノがプログラムを確認した。
ココアもそれを覗き込むが、ライブの暗がりであまりよく見えない。
そうしている間にも、歓声がさらに大きくなる。
「あ、ココア、チノちゃん! フォトンちゃんたちの二曲目が始まるよ!」
モカの言葉に、ココアはチノとともに注目する。
フォトンメイデンの二曲目。
無数の直線の光が、様々な図形を作り出す映像から始まった。
四人のメンバーが、同時に英語の歌詞を紡ぐ。
最初の前奏が止まった途端、繰り返されるビート。数を重ね、腕を突き上げるごとに、盛り上がりが増えていく。
それに合わせて、会場全体もまた点滅。一瞬の暗転と、青緑の景色が交互に繰り返される。
そして。
これから曲が始まる、まさにその直前の暗転の後。
フォトンメイデンが中心のはずの背景に、二体の人影が現れた。
「え?」
クールな青緑系の色とは全くにつかない、ダークな二体。
それは、まるで真っ白なキャンバスに付けられた絵具のように、人々の注目も集めた。
しばらくフォトンメイデンたちも、ソロパートを歌っていたが、会場の異変に気付き始め、上を向く。あの二体が彼女たちの予期せぬものだということは、その表情から明白だった。
「何でしょう……?」
チノがぼそりと呟く。
やがて、そこから全体も、あれだけ盛り上がっていたのにも関わらず、しんと静まり返っていく。相変わらず流れる映像と、録画から流れるBGMだけが、無情にも闇の二体を彩っていた。
そして。
「「___________________________」」
その唸り声は、果たして見滝原ドームを揺るがす。
そして、ライブの熱気、情熱、そのほかあらゆるものを吹き飛ばした。
残った人々に去来したのは、恐怖。
「な、何ですか……? あれ……?」
「な、なんか……怖くなってきた」
「チノちゃん!? お姉ちゃん!? どうしたの?」
チノが、自らの肩を掴んで震え、モカもまた青い顔で二体を見上げている。
それは、二人だけではない。立ち上がって周囲に目を配れば、誰も彼もが悪夢に苛まれているように唸っている。___それは、ステージ上のフォトンメイデンも例外ではなかった。
「何なの……これ……?」
どうして自分だけ平気なのかという疑問と、急いで逃げなければという危機感が同時に発生する。
そう
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