壊されていくライブ
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何で、と見上げたハルトに対し、トレギアは続ける。
「いいのかい? 私なんかに構っていて」
「!?」
「あの二体はこれから、どこで暴れるのかなあ?」
その言葉に、ハルトはさらに青ざめる。
「お前……」
「さあ、私と戦おうか。私を倒せれば、この少女を助けることが出来るかもしれないよ?」
「……ッ!」
ハルトは唇を噛み、トレギアに背を向ける。
その背後で、仮面を外したトレギア___紗夜の声に耳を貸すこともなく。
「さあ……楽しんでくれ」
___恋しいの 恋しくて つぶやく 会いたい___
クールな色合いのトンネルが、やがて恒星を中心とした銀河の星々へ変わっていく。
そんな背景映像の中、アイドルたちは踊っていた。
___冷たい夜のその先 握りしめてたのは___
四人が全員、息の合った動きで空間を支配していく。
ココアを含めた観客たちもまた、色を合わせたサイリウムを振っている。
___暁の中 ただ八文字___
銀河の中に、無数の直線の光が差し込んでいく。
それは、映像のみならず、見滝原ドーム全体を行き交い、客席まで届く。
___そばにいてほしい___
終劇。
星々の海から、一つの星へスポットを変えた映像の元、四人のアイドルはそれぞれの決めポーズで歌唱を終えた。
一瞬の静寂を突き破った、拍手喝采。
その中には、当然ココアもいた。
「すごいすごい! フォトンメイデン、すっごいすっごい!」
惜しみない歓声を送るココアだが、その声は周囲の
「来てよかったねチノちゃん!」
「はい。チケットをくれた日菜さんには感謝しないといけませんね」
ココアの隣に座るチノは、ココアと違って大きく動いてはいない。座席から
「あの子たち、私と同い年なんだよね! いいなあ、私の妹になってくれないかなあ」
「……ココアさん、同い年でもいいんですね。本当に節操なしです」
チノは、そう言ってココアから顔を背ける。
そんな彼女を見て、ココアの脳内は彼女をこう分析した。
(チノちゃん……もしかして……ジェラシー!?)
『お姉ちゃんの鈍感』
ココアのフィルターには、チノが頬を膨らませていた。
「チノちゃん……安心して! チノちゃんのことは、ちゃんと見てるよ!」
「え?」
「例えば今! 結構見辛いよね? だったら、ほらほら!」
ココアは目を輝かせながら、自らの膝を叩いた。
チノは「はあ」とため息をつく。
「しませんよ」
「ええ?」
「私は別に、この席で困っていません。そんな子供っぽいこと、するわけないじゃないですか」
「そんな〜チノちゃ〜ん」
「ほら、ココアも。静かにね」
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