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言える顔か
第一章

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                言える顔か
 甲斐満はよく他人のことを言う人間である、背は一八〇位で色黒で目は小さく鼻はやや高く肌はいつも荒れている。
 仕事は芸能レポーターでよく朝や昼のワイドショーに出ているが。
 いつもだ、俳優や女優、コメディアンや歌手のことを言っていた。
「あいつきしょい」
「きしょい?気持ち悪いですね」
「そうだっていうんですか」
「何回か会ったけどきしょい」
 こう言うのだった。
「ほんまにな」
「気持ち悪いんですか、あの人」
「そうなんですか」
「実は」
「そや、もう顔とか態度とかな」
 そうしたものがというのだ。
「全部な」
「気持ち悪いんですね」
「どんな人かと思ったら」
「そうなんですか」
「そやから俺あいつ嫌いや」
 テレビの場で言った。
「ほんまにな、それでな」
「それで?」
「それでっていいますと」
「まだありますか」
「あいつと会ったことあるけど」
 その時にというのだ。
「俺面と向かって言った」
「きしょいとですか」
「そう言われたんですね」
「あの人に」
「人間の顔やないってな」
 その様にというのだ。
「そうしたらあいつ呆然となってたわ」
「そ、そうですか」
「それはまた素直に言われましたね」
「甲斐さんらしいですね」
「本当に」
 こうした話をしていた、それもいつもだった。
 そんな甲斐を見てだ、ユーチューバの谷崎光四角い眼鏡をかけていて髪の毛を茶色にし色白でやや細長い顔の彼は友人達に言った。背は一七二位で痩せた感じだ。
 その彼がだ、テレビで甲斐を見てこう言った。自分の部屋で友人達とジュースやお菓子を楽しみながら視聴している。
「この人顔や外見しか見てないよね」
「ああ、そうだね」
「人の顔とかね」
「あと物腰とかね」
「そういうのしか見てないね」
「そうした人だね」
「そうだよね、何かね」
 光は友人達に考える顔で話した。
「こうした人っているよね」
「いるいる」
「何処でもね」
「人を顔や外見しか見てない人」
「そうした人いるよね」
「それってまさにこの人だね」
「この人もだよね」
 こう友人達に話した。
「本当に」
「だよな」
「正直いい感じしないよな」
「人を外見とかだけでしか判断しないって」
「それでこうまで偉そうに言うって」
「どうかって思うな」
「まあテレビにはこうした人も出て何かと言ってるけれど」
 それでもとだ、光はさらに言った。
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