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刑務所の代わりに
第一章

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                刑務所の代わりに
 この時星間国家連合略して連合では一つの議論が起こっていた。
「懲役何十年にもして犯罪者を何十年も食わせるのか」
「市民の税金で犯罪者を養うのか」
「刑務所も血税で成り立っているんだぞ」
「犯罪者なぞに税金を使うな」
「そんなもの最低限にしろ」
「どうせ再犯を犯す奴が多いんだ」
「もっと他のことに税金を使え」
 こうした意見が出て議論になっていた、市民の多くが犯罪者に使われる税金の節約それも大規模なそれを求めていた。
 その議論は当然ながら中央政府議会の議員や官僚達にも届いていた、それでだった。
 ケニア出身の中央政府下院議員トーマス=オルフェン背は一八六程とこの時の連合の平均身長一七十五を考えると結構な高さの背で面長の顔に黒い短い縮れた黒髪と黒い光の目を持つすらりとしたアフリカ系の彼は自身のスタッフ達に話した。
「昨今の犯罪者についての議論だけれどね」
「はい、税金を使うな」
「そう言われていますね」
「刑務所に何十年も入れるなんて税金の無駄だと」
「今そうした議論が起こっていて」
「それでどうすべきかとなっていますね」
「これは当然の意見だね」 
 オルフェンは自身の部屋でスタッフ達と共に座って議論しつつ述べた。
「事実懲役十年にもなると」
「その十年の間は、ですからね」
「その前に釈放になる場合が殆どですが」
「その十年の間税金で犯罪者を養います」
「刑務所を運営するのは税金ですから」
「そうなりますね」
「これは確かにです」
 今言われている通りにというのだ。
「税金の無駄遣いです」
「全くですね」
「それで再犯を犯してまた刑務所に入る者が多いですし」
「そう考えますと」
「その税金をどう節約するか」
「そのことを考えないと駄目ですね」
「全くだよ」
 オルフェンはまた言った。
「これをどうするか」
「考えていきますか」
「そしてですね」
「先生としてもですね」
「政策を出そうととね」
 その様にというのだ。
「考えているよ」
「左様ですね」
「この件に対する法案を提出して」
「政策にしてもらう」
「そうしますか」
「議員は法案を出す」
 まさにというのだ。
「それが仕事だね」
「野党なら代案を出す」
「与党の政策に対して」
「そして議論を行う」
「それが議員の仕事ですね」
「法案は与党でも野党でも出せる」
 どの政党に所属していてもというのだ。
「そしてだよ」
「はい、そしてですね」
「市民、連合という国をよくする」
「それが議員のやるべきことですね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
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