第二章
[8]前話
「まだその中にいるみたいだったわ」
「そうなのね」
「本当に不思議だったわ」
「そうした夢あるわね」
「そうね、悪い夢でもなかったし」
「そうそう、悪夢って誰でも見るわよ」
友人は悪夢についてはこう述べた。
「本当にね」
「そうよね」
「けれど悪夢じゃなかったのね」
「そうよ、しかしね」
「不思議な夢だったのね」
「今思い出せば思い出す程」
そうなればだ。
「不思議よ」
「それで言うのね」
「本当にね、しかしね」
ここで私はこうも思った。
「またそうした夢が見られるか」
「思わないでしょ」
「夢って二度同じ夢はね」
「まず見られないわね」
「そうね、けれど不思議な夢過ぎて」
それでだ。
「忘れられないわ」
「そういう夢ね」
「だから言ったのよ」
今こうしてだ、そしてだ。
私はその夢の話を終えてその友人と一緒に昼食に行った、その夜もまた夢を見たけれどその夢は海で泳いでいた。
それだけでだ、私は次の日また友人に話した。
「今度は現実的に海で泳いでいただけだったわ」
「そこで鮫は出なかったの」
「ええ」
「別にね」
「そうだったのね」
「まあ今の夢はどうでもいい感じで」
「忘れるわね」
「そうなると思うわ、見ても起きた瞬間に忘れる夢もあるし」
こうした夢もある、私にも。
「見ない時もあるし」
「夢って不思議よね」
「夢って言えばそれまでだけれど」
「それでもね」
言った傍から昨日見た夢は忘れた、そしてまた私は夢を見た。現実と夢は違うけれど何か妙につながっている様に思えた。
夢の中で見る景色と現実に見る景色の違いはわかる、けれど。
私は二つの世界のどちらも私の世界にいる様に思えてきた、それで。
寝る時にまた夢の世界に行こうと思いながら寝る様になった、それがどんな夢でも。そうしたことを思いつつ自然と夢を見るのが楽しみになった。他の世界に行こうと思いながら。二つの世界を行き来していると思えばこんなにもいいことはないとも思った。眠りに入るその時は夢のふち、そして夢の世界に入って目覚めてまた起きる。それは本当によかった。友人もそのことを私から聞くと自然と笑顔になって聞いてくれた。夢は本当にいいものだと二人で話しもした。
夢のふち 完
2021・4・28
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