納得いかない
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シリルside
「え〜?あの船に乗るの〜?」
俺の背中にあるリュックの中から顔を出していたセシリーが口を尖らせながらそう言う。そりゃそうだ、だって今目の前にあるのはどう見たって貨物船なんだから。
「仕方ないでしょ」
「これから行くのは闇ギルドが支配している国だからね。普通の客船なんか、通っているはずないんだから」
「むぅ〜」
これから向かう国は王政が崩れてしまったことにより治安が著しく悪化しているという話。そんな国に自ら進んで観光に行くような人間がいるわけもなく、こうやって貨物船の中に潜んで不法入国するしかないのだ。
「でもいきなり大変ね。タイミングを見計らって船に潜入しなきゃいけないなんて」
「全くだよ。しかも降りる時も見つかっちゃいけないし」
「依頼以外にも難関がたくさんあるよね」
ただの討伐依頼ならどんなに楽だっただろう。でも、これも依頼の範囲なのであれば、俺たちはそれに従って行くしかない。そもそも一度依頼を失敗しているのだから、妖精の尻尾の名に賭けて、二度目の失敗は許されない。
離れた草むらの中から次々に運ばれていく荷物。恐らく例の国に向かう輸出品なのだろう。でもよく考えると、そんなものをフィオーレから輸出することは果たして良いのだろうか?なんかささやかな疑問なんだが……
「これでラストだ」
「よし。じゃあ荷物も積み終わったし行くか」
荷物を積み終えたらしく中に入っていく男たち。彼らが入ったタイミングで、急いで俺たちも船へと向かう。
「はぁ・・・なんかもう疲れたよ」
船員に気付かれないようにと乗り込むことに成功した俺たち。細心の注意と猛ダッシュにより既に疲れているのは言うまでもない。
「だらしないわね」
「そんなんじゃまた依頼に失敗しちゃうよ〜」
カバンの中にいるシャルルとセシリーにそう言われるけど、こいつらが入っていることも原因の一つだと思う。余計な荷物になっちゃってるし。
「ほら、休まないで早く奥まで行っちゃいましょ」
「大丈夫だよ、シャルル。慌てなくても周りに人もいないし」
周りに人もいないし、隠れるところはいくらでもあるような状態。それなのに、シャルルは焦っているような声で俺たちを急かしてくる。
「いや・・・慌てなきゃダメでしょ」
「なんで〜・・・あ!!」
彼女がここまで急かしてくる理由がわからなき俺たちだったが、セシリーだけはわかった。それを聞こうとしたその時・・・
ガタガタ
例の国に出発のため、船が動き出した音がした。
「あぁ・・・」
「遅かった・・・」
「「??」」
それと同時にわかりやすく大きなタメ息をつく
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