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おぢばにおかえり
第六十六話 好き嫌いその八

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「だからどんどんいさんでいってね」
「それじゃあ。ただおみちをいさんでいくと」
 阿波野君は海ではなく私を見て言ってきました。
「やっぱりいい奥さんがいてくれないと駄目ですね」
「夫婦揃うてだからね」
 私もこう答えました。
「やっぱりね」
「そうですよね、そのことでもいさんでいきます」
「そうしてね。いい奥さんが来てくれたら」
 もうそれで、です。
「全く違うからね」
「いい奥さんと一緒におみちを歩いていけますね」
「そうよ、だから頑張ってね」
「そうさせてもらいますね」
「是非ね、ただね」
「ただっていいますと」
「阿波野君とお付き合いする人ってね」 
 前から思っていることです。
「物凄く好かれそうね」
「僕が人を好きになるととことんの人だからですか」
「逆もあるにしてもね」
「そうですか、僕はそうなりますか」
「そう思うわ、好きになり過ぎて」
 私が思うにです。
「相手の娘が困りそうね」
「そこまで凄いですか」
「阿波野君の場合はね、というか阿波野君極端よね」
「人の好き嫌いがですね」
「凄くね」
 もう極端過ぎる位です。
「好きになり過ぎても問題よ」
「かわい、ですね」
「そう、八つのほこりのね」
 そのうちの一つです。
「あと阿波野君はにくいも強いわ」
「ほこりのうちのですね」
「ええ、嫌いな人を嫌い過ぎだから」
 何といってもです。
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