第十九話 両親と姪の会話その五
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「色々なもの、色々な人を見ているとね」
「わかるのね」
「人生の経験を積んだらね」
そうしたらというのだ。
「わかるのよ、やっぱりね」
「経験を積むことね」
「経験は最高の先生よ」
愛に笑ってこうも言った。
「人生のね」
「そうなのね」
「ただしね」
ここで咲の母はこんなことも言った。
「授業料は高いわよ」
「経験は」
「汚れちまった悲しみとか言うでしょ」
「中原中也ね」
この詩人の詩の一節である、中原中也という人物は実はかなりの放蕩で波乱のある人生でかつ酒乱でもあった。
「あの人ね」
「これもよ」
「経験の一つね」
「そう、後悔したり反省したりして」
「経験を積んでいくのね」
「そうして成長したら」
そうなればというのだ。
「こうしたこともわかるわ」
「成長すればわかるのね」
「そういうことよ」
「そうなのね」
「ええ、覚えておいてね」
愛に笑顔で話した。
「そしてこれからもね」
「成長していくといいのね」
「人は何処までも成長して」
そうしてというのだ。
「よくなっていくのよ、努力すればね」
「人間努力が大事ね」
「そう、自分が偉いとか思わなくて」
「努力していくことね」
「それが大事なのよ」
「わかったわ」
愛は叔母の言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「これからもなね」
「頑張っていくわ」
「そうしてね」
ここで咲の父が帰ってきた、そして愛と一旦挨拶を交えて自分の部屋で私服に着替えた、そうしてリビングに来てだった。
愛と話した、そして彼も言った。
「よかった、愛ちゃんの中身は変わってないか」
「そうよね」
妻がその言葉に応えた。
「外見は確かにね」
「派手になったけれどな」
「中身は変わってないわね」
「ギャルになってもな」
それでもとだ、夫は妻に応えた。
「そうだな」
「派手なのは外見だけで」
「中身はしっかりしてるな」
「そうね」
「私は知ってたから」
咲は微笑んで言った。
「お姉ちゃんのそうしたところは」
「咲の言う通りだったな」
「そうだったわね」
両親は自分達の娘の言葉に頷いた。
「しっかりしていて真面目で」
「堅実でな」
「悪いことはしないわね」
「いい娘だな」
「そうよ、だから私も色々教えてもらっていて」
そうしてとだ、咲は両親に話した。
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