第六百二十七話 変わらないモンゴル人その七
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「見るからに野蛮な」
「偏見塗れのね」
「そういうのじゃなくて」
「草原でそうして暮らしていたのね」
「野蛮じゃないけれど」
ナンは笑って話した。
「遊牧民の文化のね」
「ワイルドだったのね」
「そうだったのよ」
当時のモンゴル人つまり自分の祖先達はというのだ。
「本当にね」
「何日も食べないでいたり」
「血と内臓でビタミン摂ったりね」
「そうした生活だったのね」
「ええ、けれどティムール様の時に」
この人物もモンゴル系なのでこの時代のモンゴルではチンギス=ハーンと並んで神格化されているのだ。
「お茶を飲む様になったの」
「それでなのね」
「今もね」
「飲んでるのね」
「もうこれだけあれば」
羊肉と乳製品とお茶がというのだ。
「いいのよ」
「モンゴル人は」
「これだけあればね」
それでというのだ。
「充分よ」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「そこにお酒があれば」
「確かクミズね」
コゼットから名前を出した。
「それよね」
「そうそう、馬乳のお酒ね」
「それ飲んでるのよね」
「私も好きだから」
そのクミズをというのだ。
「よく飲むわ」
「そうなのね、しかしね」
「しかし?」
「お乳からもお酒出来ることはね」
このことはというのだ。
「画期的な発見よね」
「それね、チーズやバターもね」
コゼットも応えた、二人でお茶を飲みつつ肉やチーズを食べているが二人共その味にも量にも満足している。
「そういったものもね」
「ミルクだけじゃ保存効かないから」
「それが問題なのよね」
「けれどチーズやバターなら」
「ヨーグルトもね」
「保存が効くから」
それでというのだ。
「いいのよね」
「そうそう、本当にね」
「だからね」
ナンはさらに言った。
「遊牧民にとってはチーズやバターは救世主で」
「そしてクミズも」
「救世主よ」
それになるというのだ。
「お酒も飲めるんだから」
「あんたお酒好きだしね」
「大好きよ」
一も二もないという返事だった。
「もうね」
「だから余計によね」
「クミズもあって」
それでというのだ。
「尚更ね」
「助かってるのね」
「お酒なかったら」
それこそと言うのだった。
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