第三百二十七話 お餅つきから帰ってその五
[8]前話 [2]次話
「そうした中だったので」
「戦後最大の思想家になれたんですね」
「私はそう思います」
「あまりにも酷い連中の中だったので」
「類は友を呼びますね」
「そうです、花には蝶が寄りますが」
いいものにはいい人が来てそして集まるということだ。
「汚物には蠅がたかりますね」
「吉本隆明はその蠅ですか」
「はい、蠅の中のです」
まさにというのだ。
「一匹です」
「そうなんですね」
「ですから」
それでというのだ。
「全くです」
「価値はないんですね」
「今目にする当時の学者達の発言はあまりに愚劣で醜悪です」
「マルクス主義の人達の」
「そうです、しかも全く反省せず」
何度も自分の誤りを見てもというのだ、だから北朝鮮への帰国事業でも誰も責任を取っていないのだ。
「同じことを繰り返し」
「今もですね」
「醜悪な悪事をです」
「繰り返していますか」
「はい」
そうだというのだ。
「彼等は。世代交代はしていても」
「人の質は同じですか」
「残念ですが」
「戦後の日本は繁栄していますが」
「学者や思想家の質はです」
「物凄く悪いんですね」
「よく戦前を否定しますが」
それまでの学問や思想をというのだ。
「戦争に協力したと言って」
「ですがそれでも」
「そんなのでは」
「その戦前の方がです」
「遥かにですね」
「ましです」
そうだというのだ。
「私はそう思います」
「やっぱりそうですよね」
「そんな中の最大の思想家なぞ」
「いてもですね」
「意味はないです、そしてです」
「読んでもですね」
「価値がないです」
こう僕に話してくれた。
「ですから吉本鷹飼はです」
「もう読まないで」
「小説を読まれるべきです」
「その方がずっといいですね」
「そう思います」
「そうですか、しかし」
僕はここで思った。
「漫画を読んでもですね」
「はい、得られるものは大きいです」
「そうですよね」
「小説もですが」
それと共にというのだ。
「そうしたものを読まれて」
「そのうえで、ですね」
「成長されて下さい」
「そうしていきます」
「そしてこれは一生です」
「一生のことですか」
「そうです」
僕にこうも話してくれた。
「成長は一時のことでなく」
「一生ですね」
「そうです、人生は常に学ぶことであり」
「それは若い時だけでなくて」
「幾つになってもです、私もです」
畑中さんは九十歳を超えておられる、だがそれでもというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ