ブシドー!
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」
ハルトのツッコミにも、イヴはこう返した。
「武士は食わねど高楊枝! ご覚悟!」
「君その言葉の意味分かってる!?」
「武士の凄さを指し示す言葉です!」
「そりゃ確かに考えようによってはそうだけどもっ!」
イヴの突きがハルトの頬を掠めた。
続く斬撃。ハルトは背中を大きく曲げて、木刀の下へ掻い潜る。
「この曲者、素早い!」
「だから曲者じゃないってば!」
ハルトはドロップキックで木刀を迎え撃つ。
彼女の手から離れた木刀が、そのまま廊下の端にぶつかる。
「ややっ……まさか、ここまでのしきゃくとは……!」
「刺客ね? 違うけど」
「まだまだ!」
だが、イヴはめげない。即座に拾い上げた木刀を手に、踏み込んで横薙ぎ。
ハルトは腕で防御するが、腕に響く痛みにハルトは顔を歪める。
「決まりました!」
「今更だけど、人に向かってそれ振り回しちゃだめだろ!」
ハルトはそう言って、左手でイヴの腕を掴む。
「あ!」
そのままハルトは、彼女の腕を抑えて腰を屈める。
「ケガしないように足はしっかりとしてね……!」
「むむっ……!?」
そのまま、ハルトはイヴを当て身投げ。
「ぶ、ブシドー!?」
「それが悲鳴でいいの君!?」
体を百八十度回転させたイヴを、そのまま背中から廊下に激突___はしないように腰を抑えて、落下地点に着地できるようにした。
「ぶ、ブシドー……」
「ふう……やってみたら意外とできるものだね」
本番前のアイドルに向かって技を決めるという蛮行などできるはずもなく、ハルトは無傷でこの場を諫めることが出来た。
「君、大丈夫? っていうか、俺への警戒多少は解いてほしいんだけど」
「は、はい……」
何があったのか分からないイヴが、目を白黒させている。やがて、はっとした彼女は、ハルトに向き直り、目をキラキラと輝かせた。
「す、凄いです! 感激です!」
「へ?」
真逆の態度になったイヴは、キラキラした眼差しをハルトへ向けた。
「今の技は、まさにブシドーです! どれだけの修練を積めばそのような御業が使えるのですか?」
「えっと……」
熱く語るイヴは、あろうことか土下座をし始めた。
「この若宮イヴ、あなたの弟子になりたいです!」
「ちょ、ちょっと! 困るよ! 何より変わり身早いよ!」
ハルトが止めても、自分の世界にどっぷりと浸かったイヴは止まらない。
「私も、あなたみたいにブシドーを極めたいです! どうすればそんな身のこなしができるようになるのですか!?」
「武士道なんて知らないって……」
「いいえ! あなたのその技は、武士道抜きでは語る
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