第二章
[8]前話
「ほったらかしだった」
「そうですか」
「一日中ベッドの中に寝かせてな」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「ほったらかしですか」
「おむつも碌に代えてないしミルクもな」
「まともにですか」
「あげてないな、ずっと寝かせてるからな」
「ああ、床ずれもですね」
「起こっていてな」
それでというのだ。
「ずっと泣いていてもな」
「無視してですね」
「ほったらかしだよ、もう動画も画像もな」
両方というのだ。
「撮ったぜ」
「それ俺のスマホに送って下さい」
洋介は同僚に言った。
「是非」
「そうするな」
「はい、そうして」
「その動画や画像を証拠にするな」
「絶対の証拠ですから」
それでというのだ。
「それを弁護士のおじさんに送って」
「そうしてだよな」
「後はこっちでします」
「そうするな」
「そうします、育児放棄となれば」
「それがわかるとな」
「もう」
それこそというのだ。
「あの連中も完全に終わりですね」
「引導になるな」
「はい、じゃあその引導を」
「今から送るな」
「お願いします」
同僚が自分のスマートフォンを出して少し操作するとだった。
少し離れた場所に置いてあった洋介のスマートフォンから着信音が鳴った、洋介はその音を聞いて客に笑って言った。
「有り難うございます」
「これであの二人は終わりだな」
「すぐに動きます」
「そうしてくれよ、さもないとな」
「上の娘が危ないですね」
「赤ちゃんほったらかしにしたらな」
「まだ一歳ですしね」
「歩けてもいないんだ」
赤子だからだ。
「だからな」
「ええ、すぐに叔父さんに送って」
「あいつ等から保護するんだ」
「そうしますね」
「急げよ、それでこっちはな」
「会社の方はですね」
「もう次の準備はしてるからな」
麺とチャーシューを同時に食べつつ話した。
「だからな」
「こっちが動いたらですね」
「すぐに動いてな」
「そっちも引導渡してくれますね」
「そうするな」
同僚は洋介に笑って言った、そうしてだった。
彼は今はチャーシュー麺を美味しく食べた、これからのことも思いつつ。
預けられる引導 完
2021・8・27
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