第一章
[2]次話
泳ぐことは本能的に
犬は大抵濡れることを嫌う、それで入浴も嫌いであるが。
ふわりは違った、父の文太がだ。
定期的にだ、ふわりにこう言った。
「じゃあ毛を切りに行くな」
「ワンワン」
そう言うと嬉しそうに応えてだ。
ペットサロンに行った、そこで毛を切ってもらってトリミングをしてもらってそのうえで身体も洗ってもらうが。
常に上機嫌だ、息子の洋介は奇麗になったふわりを見て言うのだった。
「いつも嬉しそうに行ってな」
「それで帰ってくるな」
「奇麗になってな」
「シャワーをかけられてもな」
それでもとだ、父は息子と遊ぶふわりを見つつ話した。
「平気どころかな」
「嬉しがるんだよな」
「家で風呂に入れてもそうだろ」
風呂場でそうしている。
「そうだろ」
「ああ、全く暴れないどころかな」
「気持ちよさそうにな」
「シャワー浴びてな」
「洗われて拭かれてな」
「ドライヤーもな」
これもというのだ。
「受けるな」
「特にシャワーがな」
こちらがとだ、文太は言った。
「好きだな」
「そうだよな、普通犬ってな」
ここで洋介は言った。
「濡れることはな」
「嫌うな」
「そうだよな」
「しかしな、トイプードルだからな」
「それでだよな」
「やっぱりな」
このことはというのだ。
「平気でな」
「むしろ好きなんだな」
「プードルはな」
父はここでもこの犬の種類全般の話をした、トイプードルだけでなくミディアムもミニマムもそしてスタンダードもだ。
「元々狩猟犬でな」
「飼い主が撃った水鳥を撃ってな」
「その水鳥を取って来る犬だったんだ」
「それでだよな」
「水鳥だからな」
この獲物でというのだ。
「水の中にいてな」
「そこから取って来るからな」
「だからな」
「水は平気か」
「そうだ、そうした種類なんだ」
こう息子に話した。
「だからシャワーもな」
「平気なんだな」
「それにふわりは奇麗好きだしな」
それでというのだ。
「余計にだ」
「濡れても平気なんだな」
「奇麗になるならな」
洗ってもらってだ。
「そうなるならな」
「平気か」
「そうだ、そのことはわかっておけよ」
「それじゃあな」
息子も頷いた、そして。
後日ふわりを犬用のプールがある場所に連れて行ってだ、リードを外して洋介がふわりに笑顔で告げた。
「泳いでいいぞ」
「ワンワンッ」
そう言われるとだ、ふわりは。
嬉しそうにプールに駆けて行ってだった。
そうしてその中に飛び込み泳ぎはじめた、洋介はその彼女を見て一緒にいる両親に話した。三人共水着ではないがラフな濡れてもいい服装だ。
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