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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
尽きない悩みの種
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になる一年生を見つけなきゃならない……正直面倒くさいことになったな……)
やってしまったことを悔いていても意味はないが、それでも頭を使わなければならないことがすごく嫌だと言うのが表情から見て取れる。
プルルルル
「チッ……またかよ」
隣に置いておいたスマホが鳴り、誰からの電話か確認するとその表情は怒りへと変わっていた。しばらく出るか迷った後、なかなか切れないそれにタメ息をついてから出る。
「なんだよ……いつもいつもこの大事な時間帯に連絡してくるなよ」
「とぉっ!!」
二塁ベース際の強いゴロ。それを逆シングルで掴んだ優愛はジャンピングスローで一塁に投じる。
「あぁ……」
かっこよく体を反転させながら投じたそれは、葉月の頭上を大きく越えていき、送球を受けようとしていた彼女はジャンプすることもなくそれを見送る。
「優愛ちゃんしっかり」
「えぇ!!葉月もジャンプしてよ!!」
「だって届かないもん」
ふわっとしたトーンで注意する葉月と捕球するためのチャレンジすらしてくれなかったことに不満げな優愛。この二人のやり取りを見ていた面々は、またかとタメ息を漏らした。
「優愛をセカンドに置かなきゃいけない現状を何とかしてほしい……」
「ハマれば全国でもトップクラスの二塁手なのにな……」
ノッカーの陽香とキャッチャーの莉子はチームの中心人物であるために余計に頭を抱えざるを得ない。二人とも実力はトップクラスなのに、自由すぎる性格のせいか、時折とんでもないミスを犯してしまうのが問題なのだ。
「せめてニ遊間で守備だけでもなんとかなる奴が出てくれば……」
「そうだね。夏までに出てくればいいね」
キャプテンの大きなタメ息を適当にあしらう莉子。彼女の抱く希望が厳しいものであることがわかっているならこそ、そんな素っ気ない返答になってしまうのだ。
(監督はああ言ったが、戦力になるなら一年生でも何でも使いたいが……)
グラウンドの隅で打撃練習に取り組んでいる後輩たちに目をやる。ほとんどが未経験……何人かは実績もある選手もいるが、それでも経験不足なのは否めない。
(あと3ヶ月……しかも再来週には恐らく東英との試合が待っている……何とかならないものだろうか……)
強豪校と称されているにも関わらず最後の最後で勝てないことに不満と不安が込み上げてくる。それが顔に出ている彼女を見て、莉子もまた深いタメ息をついていた。
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