第109話『隠された力』
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
展開は悪くなる一方である。
「……っ」
情けない。これでは結局、結月の力に頼り切りではないか。こんなに疲れ切っているのに、まだ無茶をさせるというのか。それでも彼氏か。それでも男か。
たまには自分の力でこの状況を打破してみろよ。何のためにここに立ってるんだ。
──勝つためだろ。
その瞬間、一筋の風が晴登の頬を撫でる。
「……これだ」
ようやく閃いた。魔力の少ない中、この火事場を切り抜ける手段を。この戦闘に勝つための方法を。
「ごめん結月、頼みたいことがある」
「何でも言って、ハルト」
「──」
結局、自分だけの力では足りなかった。だから彼女の力を借りることにする。
時間にして1秒、たったの一言、結月に作戦を告げた。それを聞いて、彼女はくすりと笑う。
「わかった」
何一つ、疑いを見せなかった。躊躇いもしなかった。考えもしなかった。魔力がほとんど残っておらず、疲れて苦しいはずなのに、ただ晴登の言葉を信じて、最速でそれを遂行する。
「そらよ──おぉぉ!?」
「地面が?!」
斧が地面に触れる寸前、結月が生み出した氷柱によって【タイタン】の2人は空へと投げ出された。
──爆発を防げないのであれば、最初から使わせなければ良い。
「行くよ!」
「うん!」
窮地を脱した晴登と結月は、間髪入れずに追撃に入る。この機を逃せばもう勝利はありえない。身体中の力を振り絞れ!
「攻撃がバリアで防がれるなら、もっと近づけばいい。ゼロ距離で喰らわせる!」
晴登は"疾風の加護"を再発動。結月と共に、目に見えない速度で距離を詰める。
「こ、この……!」
轟は完全に体勢を崩していたが、建宮は何とかバリアの生成を間に合わせる。だが、関係ない。
残された全ての魔力を腕に込める。もう後先は考えない。着地なんて知るか。この一撃に賭ける。
この時にはもう、結月の"鬼化"は解けていた。最後の力で、晴登をここまで導いてくれたのだ。なんと健気なことか。彼女は自分の信じる恋人に全てを託したのだ。であれば、それに応えなければ男が廃るというもの。
バリアが何だ。この想いの力は誰にも止めさせない──!
「ぶっ飛べ!! "天翔波"!!」
「「ぐわぁぁぁっ!!!」」
思い切り振りかぶられた晴登の手がバリアに触れる。その瞬間、巻き起こった暴風によって、【タイタン】の2人は弾かれたように地面へと吹き飛ばされ、墜落した。
──フィールド外の地面へと。
『【タイタン】、両者ともリングアウト!! よって勝者、【日城中魔術
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ