第109話『隠された力』
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のかい?」
「見たいもんは見れたしな。それに結果も見えてる。これ以上は時間の無駄だ」
「せっかく来たんだから、最後まで観ていけばいいのに」
大きな欠伸を一つしてから、影丸は再び龍翼を広げた。ここに来た目的は達成したのだから、居残る理由はない。
その奔放な態度にアーサーはやれやれと首を振りつつ、最後に質問を送る。
「……ちなみに、少女のペアの少年には何か?」
「女と相性は良いみたいだが、それだけだ。あいつ自身の実力は大したことない。……とんだ見込み違いだったな」
「ふぅん」
そう言い残すと、影丸は空へと羽ばたいていってしまった。
彼は少年の方にも目を付けていたはずだが、どうやらもう見る気は失ったらしい。確かに、アーサーが見てもこれといって目立った特徴はなかった。しかし、
「結果は見えてる、ね。──でも、君はまだ諦めてないんだろ? だったらその健闘、ここで見守るとしよう」
少年の目にはまだ光があった。勝負を諦めず、勝ち筋を必死に探している目だ。
であれば、この試合の行方はまだわからない。勝負とは、先に折れた方が負けなのだから。
アーサーは一人微笑み、試合の様子を傍観するのだった。
*
『なんということでしょう! 先程までと一転、形勢が逆転してしまっています! 現在は轟選手が巻き起こす火柱の猛攻を、【日城中魔術部】チームは何とかかわしている状況です!』
ジョーカーの言う通り、晴登たちの戦況は芳しくない。ようやく結月のペースに合わせられるようになったところだが、相手が攻撃の手を緩める訳もなく、苦しい逃走劇が続いている。
「オラオラ、逃げてばっかか?!」
「こ、の……!」
轟の挑発に乗り、"鎌鼬"を放とうとして──止める。どうせ防がれるし、これ以上魔力を浪費したくないからだ。
けど、このまま逃げ続けても勝ち目はない。相手の体力も魔力もまだまだ尽きそうにないし、時間をかけるだけ無駄だ。
何か、良い手は──
「さて、これで終いだ!!」
「え……あ! しまった、囲まれた!?」
決め手となる一手を考えていたせいで、辺りが完全に見えてなかった。いつの間にか両脇が爆破による残り火で囲まれており、逃げ場を失ってしまったのだ。
真正面では、大きく斧を振り上げる轟。どうやらここで勝負を決めに来るらしい。きっとド派手な爆発が起こることだろう。
「ここまでか……!」
轟の斧はもう振り下ろさんとしていた。
疲弊して魔力の少ない結月では、その後に起こる爆発は防げまい。当然、晴登だって不可能だ。かといって左右を阻む炎の壁を突破するには、これまた結月の力が必要であり、そこで魔力を消費すれば
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