第109話『隠された力』
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うなると考えられるのは、伸太郎と同じで複数の属性を含む能力の可能性。例えば、"斧"と"爆破"が同じ人物の能力で、防御手段がもう一人の能力とか。
「そんなにふらふらしてて大丈夫かぁ? オラ、歯ぁ食いしばって受けてみろやぁ!!」
「来る……!」
轟が叫びながらその場で斧を地面に振り下ろすと、そこから火柱のような爆発が立て続けに起こり、晴登たちを襲った。
……なるほど、どうやら仮説は正しかったらしい。
「結月、避け──」
先程のように、まるで以心伝心の息の合った動きをしようとしたところで、結月の反応が鈍いことに気づく。やはり、彼女は相当疲れているようだ。
このままでは避け切れないと察し、晴登は無理やり結月の手を引き、転がるように回避した。
「ご、ごめんハルト……」
「気にしないで」
謝る結月に、彼女の身体を支えながら晴登は優しく答える。けれど、休んで欲しいとは言い切れない。もし彼女がここで"鬼化"を解いてしまうと、その瞬間に崩れ落ちてしまいそうだから。もう少し、もう少しだけ頑張って貰わないと──
*
「この勝負、どう見る影丸?」
「どうもこうもあるかよ。あのガキども、途中までは動きは良かったが爪が甘ぇよ」
「そうだね。切り札を切るまでが早かった。もう少し手札を増やすべきだろう」
観戦席で、アーサーと影丸が戦況について会話する。どちらも【日城中魔術部】が不利だという意見だ。
先程の晴登と結月のコンビネーションの良さとそれによる猛攻には目を見張るものがあったが、それ以外に関してはズブの素人。困ったらゴリ押しだなんて、相手との実力差が離れていないとそうそう通用するものではない。
「それにしても、"鬼"になる魔術か……」
「君の"龍"と近しいものを感じるね」
「あぁ。けど、その割にはまだまだ使いこなせてなさそうだ」
一方で、影丸は結月の"鬼化"に強い興味を示していた。レベル5の能力だからというのもあるが、彼自身の能力が"黒龍"ということで、伝説上の生き物繋がりで親近感を覚えたからだ。
ただ、そんな自分と比べると、彼女の能力の規模はまだまだ小さいと言える。そのことを口にすると、アーサーが苦笑した。
「彼女はまだ子供だよ? 君とは経験値が違うじゃないか」
「わかってるよ。ま、伸びしろはあるってこった」
自分と彼女では、積み上げてきたものが違う。だからこそ、こうして上から物を言えるのだ。数少ないレベル5の魔術師。その成長には期待が持てる。
「ふぁぁぁ。さて、と……」
「おや、帰る
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ