第109話『隠された力』
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
したそれによって、必殺技を受けることに成功している。
これだけでも十分問題ではあるが、この"バリア"を知覚できなかった場合、彼らの奥の手は曝されていないことになり、切り札まで使った晴登たちが圧倒的不利に陥ってしまうのだ。
「大体、魔術師の戦闘において、最初にやるのは相手の能力を正しく知ることだ。それなのに、相手の能力を誤認して必殺技を撃って、そして防がれちまうなんて悪手も悪手、大悪手だ」
「相手の能力を正しく知ること……」
「要は情報戦みたいなもんだ。それがわかっているからこそ、実況も下手に選手の能力をバラすような真似はしてないだろ?」
「確かに……!」
終夜が言うことは全くその通りであると、伸太郎は納得する。言われてみれば、ジョーカーはどの試合においても、選手の紹介で能力に関することを言っていない。運営側である彼が、事前に選手の能力を知っていてもおかしくないのに。
つまりこの本戦では、ただ戦闘能力を競うのではなく、相手の能力を探る情報戦も兼ねているという訳だ。思ったより奥が深い……!
「これは対魔術師について教えてなかった俺の落ち度だ。もっとも、今回はそもそも相手が1枚上手だったが。──この試合、厳しいぞ」
*
「く、ぅ……」
「結月! 大丈夫?!」
「うん、何とか……。念のため、魔力を残して正解だったよ……」
膝をつきそうになる結月を支えながら、晴登は声をかける。彼女の表情は重苦しく、息遣いも荒い。明らかに大丈夫ではなかった。
魔力を残しているとは言ったが、ほとんど使い切ったのではなかろうか。それでも辛うじて倒れていないのは、"鬼化"の恩恵なのかもしれない。
「結局、なぜ防がれたのかはわからない。でも、最悪の状況になったってことだけはわかる」
【タイタン】の2人は怪我ひとつなく、逆にこちらは結月が限界に近い。トドメだと思って、晴登もかなり魔力を消費してしまっている。もう"疾風の加護"もここまでだ。
こんなことになるとわかっていれば、もっと抑えたのに……。
「……いや、過去をくよくよしても仕方ない。大事なのはここからだ」
自分にそう言い聞かせ、何とか前を向こうとする。しかし、手錠越しに結月の苦しさが伝わり、嫌な汗が頬を伝った。
どんな手段かはわからないが、少なくとも相手は結月の必殺技すら防御することができる能力を有している。そしてそれは"斧"でも"爆破"でもない、3つ目の魔術だろう。なぜならあの時、"斧"は封じていたし、"爆破"はそもそもされなかったのだから。
そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ