第109話『隠された力』
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なく、五体満足で立っていたのだ。
これにはさすがに驚きを隠し切れない。
「あ、あれを凌いだのか!?」
「そんな!」
「……ふ〜危ねぇ危ねぇ。助かったぜ、建宮」
「全く、ヒヤヒヤしましたよ。どうやら隠し通すのはこれが限界のようですね。とはいえ、相手は切り札を切りました。今度はこちらの番ですよ、轟」
「うっし、やっと気兼ねなく振り回せるんだな!」
いつの間にか氷を砕かれ、再び斧を担ぐ轟。一方メガネをクイッと上げ、少し残念そうにしている建宮。2人とも余裕の態度である。
一体、何がどうなっているのか……。
*
「部長、今のって……!」
「お前にも見えたか、暁。あいつらの技が当たる寸前、あのメガネ男が"バリアを張った"」
「まさか、まだ手を隠してたなんて……」
フィールド脇、選手以外のチームメンバーが待機する場所で、そんなやり取りをする。
つまるところ、晴登たちの必殺技は未知の魔術によって防がれていたのだ。
「あれって建宮って人の能力っすかね? でも"爆破"と"バリア"じゃ系統が全然違うような……」
「思い返せば簡単な話だ。爆発は必ず斧の一撃に伴って起こっていた。つまり、"爆破"はデカい男の方の能力なんだよ。メガネ男はタイミング良く指を鳴らしてただけだ」
「じゃあ、あの人はずっと魔術を使ってなかったってこと?! 全然気づかなかったわ……」
伸太郎の疑問に、終夜はすぐさま答えを出す。さすがの観察眼と言うべきか、確かに建宮の指鳴らしは不自然だった。しかし、ただのカッコつけと解釈できないこともない。それこそが彼らの作戦だったのだ。
緋翼の言う通り、建宮は自分の魔術を一度たりとも発動させていない。"バリア"を最高のタイミングで、確実に成功させるために。
「問題はそれだけじゃないぞ。あのバリアは結月の必殺技を防いだんだ。相当レベルが高いに違いない」
「きっと私たちじゃ手も足も出ないでしょうね……」
レベル5の魔術師である結月の必殺技を防いだ。その功績だけで、あのバリアの優秀性は評価できる。少なくとも、レベル4は下らないはずだ。
「そしてこれが最もヤバい問題なんだが、俺たちはあいつらの背後にいたからバリアを目視できた。けど、対峙している三浦たちにとっては──」
「技で相手が隠れて見え、加えてあの煙……"バリアが見えてなかった"ってことすか」
「それって、損しかないじゃないの!」
終夜の考える最大の問題。それは、恐らく晴登たちが"バリア"を認識していないということだ。
【タイタン】は"バリア"の魔術を秘匿する戦法をとっていた。そして、満を持して発動
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