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猫の死への優しさ
第二章

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「そうしてくれるのよ」
「そうだね」
「いい子ね」
 ハーグは笑顔で言った、ジョーンズもその通りだねと頷いた。
 そうしてバディーが人々の葬儀に参列し参列者達を慰めるのを見守った、葬儀業者もそんな彼に感謝した。人の悲しみを労わり癒してくれる彼に。
 その彼を見てだ、アメリカのロートアイランド州のリハビリテーション介護センターに勤務している意志のシンゴロウ=マツナガきりっとした黒髪と黒い目の中背のアジア系の彼はセンターに戻って同僚に話した。
「いや、感心したよ」
「そうした猫がイギリスにもいてだね」
「たまたま旅行で立ち寄って見たんだけれど」
 それでもというのだ。
「素晴らしいと思った、そして」
「うちの子とだね」
「同じだとも思ったよ」
 こう同僚に話してだ。
 自分達のところに来た猫を見た、病院の中を闊歩するその猫は。
 三毛猫で雌だった、マツナガはその猫を見てさらに言った。
「オスカーとね」
「ニャ〜〜〜」
「オスカーは少し違うけれどね」 
 自分の顔を見て鳴いた彼を見つつ同僚に話していった。
「この娘は」
「イギリスのその猫は参列者の人を労わり癒してくれるけれど」
 同僚も話した。
「オスカーはね」
「うん、もうすぐ亡くなる人達のところに来て」
 そうしてというのだ。
「最後の一夜一緒に寝たりね」
「添い寝してね」
「そして看取ったり」
「そうしてくれるからね」
「そこは違うけれど」
 マツナガは自分の傍に来たオスカーの頭を撫でつつさらに話した、休憩室でコーヒーを飲みつつ話していった。
「それでもだよ」
「死に直面している人を癒してくれるからね」
「オスカーが寄り添うと亡くなるってわかるから」
「ご家族も呼べるしね」
 死に目に会うそして見送る為にだ。
「その為に」
「そうしたことを教えてもくれるから」
「だからだね」
「素晴らしいよ、猫には不思議な力が多くあって」
「中にはそうしたことをしてくれる子もいるね」
「イギリスのその猫やオスカーの様にね、だから」 
 マツナガは同僚に話した。
「馬鹿には出来ないよ」
「むしろ凄いと唸るしかないね」
「全くだよ、じゃあこれからも僕達は」
「うん、オスカーをね」
「大事にしていこう」
「亡くなる人がわかって労わってくれる彼をね」
 二人で笑顔で話した、そうして今はオスカーの遊び相手をした。そして猫という生きものの素晴らしさを深く感じるのだった。


猫の死への優しさ   完


                   2021・8・26
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