パステルパレット
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
会場へ向かう。
警備員の足元を潜りながら、関係者入口へ入っていく。
「よし。一にも二にも、日菜ちゃんを探そう」
警備員たちの網を突破したハルトは、周囲を見渡す。
迷路のような回廊と、無数に並ぶ部屋。控室に書かれている名前には、日菜の名前もパステルパレットの文字もない。
「どこだ……? 一度、解除するか? ユニコーン」
ハルトは、奥の人目に付かないところを指差す。様々な資材が置かれた裏。ユニコーンに連れられたそこで、ハルトは縮小の魔法を解除する。幾重にも体を包む魔法陣により、ハルトの体は元の大きさに戻る。
「日菜ちゃん……どこだ……?」
ガルーダがいればと思いながら、ハルトは廊下を歩きだす。
次々に並ぶ、同じような部屋。テレビで聞いたことがあるようなないような名前をいくつも流して見ながら、やがて『パステルパレット』と書かれた表札を見つけた。
「失礼します。……日菜ちゃん?」
ノックをして入る。だが、そこに日菜の姿はない。
代わりに、こちらにむかって華やかな髪をした少女が決めポーズをして凍り付いていた。
「まんまるお山に彩りを……あ」
「え」
ハルトが唖然とすると同時に、少女も青ざめていく。
目元でピーズサインをして、ウインク。まるで彫像かと思ったが、徐々にそうではないと証明するように、目が泳いでいく。
「ひゃああああああああああああ!」
「あ、ご、ごめんごめんごめん!」
丸山彩。
そんな名前の少女だった。
ピンクのツインテール、笑顔が眩しい少女。何とか落ち着かせたハルトは、ステージ衣装のままの彼女の部屋に入れてもらえた。
「日菜ちゃん……ですか?」
向かい合っているソファーに座るハルトと彩。緊張が残る顔の彩は、「えっと」と汗を流している。
「えっと……今日はまだ会ってないです。遅刻癖はいつものことなので、あんまり心配していませんでしたけど……でも、もうすぐ本番なのに、まだ来ないからちょっと不安です……」
「……」
手がかりなし。その事実に、ハルトは「そっか……」と項垂れた。
「でも、日菜ちゃんはすごいですから。いつもリハーサルとかなくても全部上手くいきますから、失敗とかしないと思うんですけど。むしろ私が何とかしなきゃ」
「そうなんだね。あのさ。本番前に悪いんだけど、日菜ちゃんが戻ってきたら、俺に連絡くれるように伝えてくれないかな? 多分連絡先知ってると思うから」
「は、はい……」
彩は頷いた。
他を当ろうと席を立った時。控室の扉が開かれた。
「彩ちゃん? さっきスタッフの方と追加の打ち合わせしたんだけど……」
入ってくる、別の少女。手に黄色い台本を持ちなが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ