パステルパレット
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トさんじゃない?」
「え? ハル君? どこどこ?」
モカがココアが指さした方角を見る。だが、多くの車やファンが行き交う道で、彼のバイクの姿は見られなかった。
「あれ? さっき、そこを通ったと思ったんだけど……」
「ハルトさんの出前は、もうとっくに終わってる頃ですよ。今頃きっとラビットハウスに戻っています。間違えるなんて、ココアさんは本当にしょうがないほどココアさんです」
「あ、あれ? 私、なんかどんどん扱いが酷くなってるような……?」
ココアは苦笑した。
そしてその時。
見滝原ドームの裏側に戻って来たハルトが、血相を変えていることなど気付くはずもなかった。
夕方近くの見滝原ドームは、大勢の人々でごった返していた。雨も上がり、湿った空気は、会場に並ぶ人々の熱気で暑くなっている。
「これ……!」
マシンウィンガーから降りたハルトは、入口を探す。
だが、正規の入り口で入れば、どれだけ時間がかかるか分からない。さっきまでスイムスイムと戦っていた裏口の倉庫も、警察の捜査の手が回り、とてもハルトが入れる隙はなかった。
通り雨が上がったものの、雨の影響か冷える中で、ハルトは入れそうな抜け道を探り始めた。
「あった……!」
ようやく人が少なそうな入口を見つけた。
近くにマシンウィンガーを停めて突入しようとしたが、世の中それほど甘くない。
「ああ、ちょっと」
二人の大柄な男が、入ろうとするハルトの前に立ちふさがる。
「入館証を見せて」
「入館証って……」
その時、見上げたハルトは理解した。
関係者専用入口。
そんな確固たる事実が記されたそこに、ハルトは額に手を当てた。
「それじゃあ、ここは……」
「はい、出て行ってね。お客さんはあっちからだから」
二人組の警備員に両腕を掴まれ、ハルトは徐々に入口から離れていく。
「ちょっと待って……! 今、行かないと……!」
「悪質なファンは出入禁になりますよ」
「俺はファンじゃ……」
抵抗しようとしたハルトだったが、諦めて彼らの案内に従う。
お客様専用の入り口に向かう振りをして、ハルトは近くの茂みに隠れた。
「あんまりこういうのは好きじゃないんだけど、仕方ないか……」
ハルトは腰から指輪を取り出し、右手の中指に入れる。
『ユニコーン プリーズ』
『スモール プリーズ』
紗夜のもとから回収した青いユニコーンの使い魔を召喚すると同時に、縮小の魔法を使う。人形のサイズになったハルトは、目の前で完成していくブルーユニコーンに跨った。
「ユニコーン、頼む。日菜ちゃんのところに連れて行ってくれ」
一角獣は嘶き、蹄で地を叩きながら
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