暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第二百十七話 船の中でその四

[8]前話 [2]次話
「壊血病でもな」
「その通りでござるな」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「そのことを知らない奴もいる」
「他の病気についても」
「ペストだってな」
 このあまりにも有名な伝染病でもというのだ。
「悪魔の仕業とかな」
「他にも誰彼が広めているだの」
「そうデマを垂れ流してな」
「迫害や弾圧に使う輩もいるでござる」
「敵対関係を煽る場合もあるさ」
 こうしたケースもあるというのだ。
「それでな」
「自分達の目的を果たそうとするでござる」
「人の不安を煽る奴なんてな」
 久志はさらに言った。
「もうな」
「碌でもない輩でござる」
「それが相場だな」
「全く以て」
「それじゃあな」 
 まさにというのだ。
「そんな奴こそな」
「成敗すべきでござる」
「本当にそうだな」
「そうした者達を裁く法もありますが」 
 夕子が言ってきた。
「帝国には」
「騒乱罪な」
「はい、ですがこれは使い方がです」
「中々難しいな」
「言った言わないの話になり証拠もです」
「掴みにくいな」
「言動は物的証拠とはです」
 それにはというのだ。
「何しろものではないので」
「絶対にならないからな」
「デマを書いた紙等があれば別ですが」
「それが中々な」
「あるものではありません、そして一旦流れた噂は」
「消えにくいからな」
「人を貶めるにはどうすればいいか」
 夕子はここでこうも言った。
「その人の下半身を狙え」
「スキャンダルってやつだな」
「それを流せばです」
「一番効果がある」
「はい」
 パン、柔らかいそれを食べつつ言った。
「そうです」
「嘘でもな」
「噂は消えずです」
「耳に残るしな」
「事実無根でも」
 久志が今言った場合の様にというのだ。
「それでもです」
「耳に残ってな」
「その人の評判は落ちます」
「確実にな」
「ですから」
「そいつを貶めたいならな」
「下半身です」 
 そこを狙えというのだ。
「そうすることが一番です」
「そうだよな」
「ただ」
 夕子は苦い顔になって述べた。
「こうしたことをする人は」
「もう絶対にな」
「信じてはいけませんね」
「最悪に汚いやり方だからな」
 人の下半身を攻めるそれはというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ