第三百二十六話 歯は大事その八
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「楽しい思いをしてね」
「忘れることね」
「そうしたらいいよ」
「そうなのね」
「お酒を飲むのもいいし」
こうしてもだ。
「それに美味しいものをね、今も言ったけれど」
「それもよね」
「そう、そして遊ぶのもね」
「いいわね」
「旅行に行ってもね」
こちらもだ。
「いいよ、趣味を満喫しても」
「いいわね」
「趣味のない人もいないと思うし」
「無趣味って人は」
「言葉としてはあるけれど」
けれどだ。
「何もない人って」
「やっぱりいないわね」
「あの始皇帝だって趣味あったし」
何でも誰も愛さないでただひたすら法のみを追い求めていた人間味がなかったと言われる様な人でもだ。
「冷酷非情で猜疑心が強かったっていう」
「あの人も趣味あったの」
「うん、建築と旅行がね」
この二つがだ。
「趣味だったんだ」
「ああ、そういえば」
香織さんも言われて頷いた。
「あの人結構巡幸していたわね」
「あれが旅行でね」
「万里の長城とか阿房宮とか」
「驪山領もね」
「建築していたわね」
「民衆の人達は大変だったけれど」
無理矢理働かされてだ。
「それでもね」
「始皇帝にも趣味があったのね」
「あと不老長寿マニアだったし」
「それ有名よね」
「その為のお薬を探して」
それも必死にだ。
「あちこちに人を送って」
「徐福さんも」
「日本に来たって話があるね」
「そうしたお話もあるわね」
「伝説らしいけれど」
日本に来たというのはだ。
「お墓もあるし」
「和歌山県だったわね」
「伝説は伝説でもね」
「可能性高いわよね」
「そうだろうね、それで始皇帝もね」
あらためてこの人の話をした。
「趣味はあったよ」
「建築と旅行ね」
「その二つがあったから」
史記によると随分人間味のない人だけれどだ、豺狼の様な心だとも書かれているから相当なものだ。
「誰でもね」
「趣味はあるのね」
「うん、ヒトラーだってあったし」
この人にもだ。
「読書と音楽鑑賞ね」
「意外と以上に穏やかよね」
「ヒトラーって私生活は真面目だったから」
それも極めてだ。
「どうもギャンブルもお酒もしなくて」
「煙草もよね」
「うん、それで女性にも清潔で」
このことでも有名だった。
「実は女性に滅茶苦茶もてたけれど」
「もてたの」
「だってあれだけ圧倒的な支持を得ていて」
ドイツ人の八十七パーセントが支持していた位だ。
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