第二章
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「そうしてな」
「やがて自然に帰そう」
「そうした育て方をしているしな」
「うん、そして」
コスマンはこうも言った。
「何時か生き別れの」
「家族ともか」
「ああ、再会出来たらな」
「いいな、じゃあそうなることも願いつつ」
「ボブカを育てていこう。ボブカ幸せになるんだぞ」
「ウホッ」
そう言われてだ、彼は。
センターで心ある人に育てられていった、そのセンターに。
また一匹子供のゴリラが来た、そのゴリラはというと。
「コンゴから来たんだな」
「コンゴ共和国から」
「東ローランドゴリラか」
「コンゴにしかいない種類のゴリラか」
「そのゴリラの女の子か」
見ればまだほんの子供だった。
「親は殺されて」
「この子だけ密猟業者に攫われてたんだな」
「全く、密猟する奴に碌な奴はいないな」
「密猟自体犯罪だしな」
「ゴリラは数が少ないんだぞ」
絶滅の心配があるというのだ。
「しかも凄く大人しいんだ」
「あんな大人しい生きものいないぞ」
「ガンジーみたいな非暴力なんだ」
「完全なベジタリアンだしな」
だから他の生きものを襲うこともないのだ、動物園でもゴリラは野菜や果物しか口にしないことで知られている。
「過激なヴィーガンでもないぞ」
「我ばかりじゃない」
「そんないい生きものなのに」
「惨たらしく殺すなんてな」
「酷い奴等だ」
「自分達で殺し合っていろ」
「密猟なんてするな」
「ふざけたことだ」
スタッフの者達は苦い顔で述べた、そして。
その雌の子供のゴリラをルリングと名付けた、そうして育てはじめたが。
ルリングは両親を殺され攫われたことから塞ぎ込んでいた、しかし。
「大丈夫だぞ」
「俺達はお前の味方だ」
「お前に悪いことなんか絶対にしない」
「お前を何があっても守るからな」
「ゴリラがどんな生きものかわかっているし」
「安心するんだ」
「怖がることはないからな」
こう言ってだった。
ルリングにボブカに対するのと同じだけ親身に接した、それはコスマンも同じでボブカにもルリングにも優しく接し。
いつも親身に世話をした、すると。
「ルリング、遊ぶか?」
「ウホッ」
ルリングも彼に懐きいつも親しく遊ぶ様になった、徐々にだが確実に彼にも他のスタッフ達にも懐いて心を開いていっていた。
それはボブカも同じで一緒にいる時も出来た二匹を見てだった。
コスマンはモッチにこう話した。
「悪い奴もいるけれどな」
「ゴリラを殺したり攫ったりな」
「そんな奴がいても」
「俺達はゴリラを助けていこうな」
モッチはコスマンに言った。
「これからも」
「ああ、こんな素晴らしい生きものはいないからな」
「そしてルリングもボブカもやがては自然に
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