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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
第136話
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れるものだぜ……」

「ハハ、そのセリフはクロチルダさんと協力関係だったクロウにもそっくりそのまま返すよ。」

リィンの答えを聞いたマキアスが静かな笑みを浮かべている中クロウは呆れた表情で呟き、クロウの言葉に対してリィンは苦笑しながら指摘した。その後二人と別れたリィンとステラはステラの提案によってオルディスの近くにある海岸に向かった。



〜アウロス海岸道〜



「いい風………ここは何年経っても変わりませんね……」

「……もしかして、ここはステラのお気に入りの場所か何かだったのか?」

海風を受けて長い黒髪をなびかせて海を見つめているステラにリィンは静かな表情で訊ねた。

「ええ………私がまだ幼かった頃、アーサー兄様に教えてもらった場所です。」

「アーサーさんに?」

「はい。”二人だけの秘密だよ”と仰っていましたから、恐らく他の家族は知らないと思います。――――――まあ、トリシャ様と秘密の逢瀬をしていましたから、正確に言えば”3人だけの秘密”になりますが。」

「トリシャさんも……あれ?もしかしてステラ、マキアスお従姉(ねえ)さん―――――トリシャさんとも面識があったのか?」

ステラの話を聞いてある事に気づいたリィンは目を丸くして訊ねた。



「ええ、1度だけですが偶然お二人がここでデートしている所を鉢合わせて、その時に兄様に紹介してもらいました。」

「そうだったのか………」

ステラの答えを聞いたリィンは静かな表情でステラを見つめた。

「―――――今日は付き合って頂き、ありがとうございます、リィンさん。本当でしたらせめて私の手で引導を渡すつもりでしたのに、リィンさんのお陰でかつて尊敬していた唯一の家族が戻ってきてくれました。」

「ハハ、アーサーさんの件についてはほとんどマキアスと知事閣下の説得によるものだから、俺はほとんど何もしていないさ。」

ステラに感謝されたリィンは苦笑しながら答えた。

「フフ、その謙遜さも相変わらずですね。……………………………」

「どうかしたのか、ステラ?」

リィンの謙遜さに苦笑した後目を伏せて黙り込んだステラが気になったリィンは不思議そうな表情で首を傾げて声をかけた。



「リィンさん、私が実家――――――ディアメル伯爵家と絶縁し、メンフィル帝国に亡命した理由は以前にも何度かお話しましたよね?」

「へ?あ、ああ。政略結婚もそうだが政略結婚を押し付けようとする家族が嫌になってメンフィル帝国に亡命したんだったな。」

「はい。……今の状況になって改めて思いました……私の選択は、正しかったのだと。伯爵家が決めた私の婚約相手――――――ナーシェン卿に嫁げば、私はこの世の誰よりも不幸だったはず。
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