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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
第136話
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聡明な兄様でしたら、すぐに察する事ができるでしょう?」

「あのステラが”亡命”に加えてメンフィル帝国軍に入隊してエレボニア帝国との戦争に参加しているなんて……ハハ……マキアス君といい、ステラといい、本当に大きく、そして強く成長したものだな……」

ステラの説明を聞いたアーサーは呆けた表情でステラを見つめながら呟いた後寂しげな表情を浮かべて呟き

「先程マキアスさんが仰ったトリシャ様の件の後の兄様の事については、私も初耳でした………兄様、トリシャ様の件を悔いて、伯爵家から縁を切られて同然の状態になるくらいトリシャ様を愛しておられたのでしたら、どうしてトリシャ様と”駆け落ち”をしなかったのですか?”愛妾”にすると言われて自らの命を絶つ程兄様の妻になる事を信じ、愛しておられたのですから、もし兄様がトリシャ様に”駆け落ち”を申し出たら、間違いなくトリシャ様も応じていましたよ。あの頃の兄様もご自身の財産はそれなりにありましたから、トリシャ様と共に他国に亡命して新しい生活を築くことくらいはできたはずでしょうし、私や伯爵家はともかく、知事閣下とマキアスさんは大切な家族であるトリシャ様が駆け落ちした事に複雑な思いを抱えるでしょうが、それでもそれがトリシャ様と兄様自身の意思だったのならばトリシャ様と兄様が幸せになる事を願ってくれていたと思いますよ。」

「ステラ………」

「………………」

「ハハ……あの頃の私には……そんな勇気は……持てなかったんだろうな………ステラの言う通り……本当に……あの頃の私に全てを捨ててでも彼女の手を取る想いがあったのならば、彼女もあんなことには………マキアス君や、マキアス君のお父さんに……いったいどう顔向けすればいいのか……」

ステラの指摘をリィンは静かな表情で見守り、マキアスは目を伏せて黙り込み、アーサーが辛そうな表情で答えたその時

「―――――真っ直ぐ、前を向いてくれればいい。」

レーグニッツ知事がその場に現れてアーサーに声をかけた。



「………レーグニッツ閣下……」

「この先、何があったとしても私は帝都知事として足掻き続けるだろう。だが私一人では力不足だ――――――マキアスやリィン君たちのような若者や外部の力と視点も存分に借りなければ。その時はアーサー君も力を貸して欲しい――――――かつて私の元で働いてくれた時のように。あの子も、トリシャもきっと……」

「……ああ、姉さんもそれを望んでいるはずさ。どうか前を向いてくれ、アーサーさん。ただ貴族を追い詰めるんじゃなく――――――本当の意味でこの国を変える為にも。」

「マキアス、君……」

レーグニッツ知事とマキアスの言葉によってアーサーが正気を取り戻すとアーサーを纏っていた黒い瘴気が消え去った。

「………私は
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