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カナダガンの夫婦
第一章
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               カナダガンの夫婦
 アメリカマサチューセッツ州ニューイングランドの野生生物センター近くの池にカナダガン達がいるが。
 そのうちの一匹を見てセンターに務めている若いアフリカ系のスタッフであるウィリアム=イリヤは同僚達に言った。
「あのカナダガン怪我してるな」
「ああ、あれはアーノルドだな」
「あの子じゃないか」
「足を引きずってるな」
「カミツキガメとかに噛まれたかもな」
「あのままだとよくない」
 同僚達も引き摺っている足を見て言った。
「すぐに保護しよう」
「そして怪我を治そう」
「怪我が悪くなったら大変だ」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 スタッフ達はすぐにそのカナダガン、アーノルドという雄の彼を保護した。そして診察をするとだった。
 足を二カ所骨折していた、それでだった。 
「じゃあ手術をして」
「そして怪我を治そう」
「暫く入院もしてもらって」
「怪我が治ってから退院だな」
「クァッ」
 アーノルドは一声鳴いただけで別に人を怖がらず大人しく手術を受けることになった、だが彼を保護して診察をした翌日だった。
 センターの入り口をノックする音が聞こえた、それで開けるとだった。
「クァッ」
「えっ、カナダガンじゃないか」
「まさかアーノルドの奥さんか?」
「カナダガンのつがいの絆は凄いけれど」
「一方が死ぬまで続くが」
「まさかアーノルドの奥さんか」
「この娘メリーだよ」
 スタッフの一人が彼女を見て言った。
「アーノルドの奥さんだよ」
「やっぱりそうか」
「旦那さんが心配で来たんだな」
「まさかセンターに入って」
「それで手術に立ち会うつもりか」
「クァッ」
 メリーはスタッフ達の言葉を聞いてだった。
 その通りという感じで鳴いた、それを受けてだ。
 スタッフはどうしようかと思った、手術をしている部屋の中でマリーが突然夫を心配して大きく動けば手術の妨害になると心配した、それでだった。
 彼女を同室させるのは無理となった、だが。
 メリーがアーノルドを心配しているのは明らかであったからだった、彼等は考え話をして一つの知恵を出した。
「メリーが見える場所で手術をしよう」
「それがいいな」
「あれだけ心配しているんだし」
「あの娘の目の前でしよう」
「そして怪我を治して」
「退院させてあげよう」 
 こうしてだった。
 彼等はメリーが見える場所彼女がいる場所から窓越しに部屋の中が見える場所でアーノルドの手術をした、すると。
 メリーはずっと彼を見ていた、スタッフ達はそれを見て話した。
「大丈夫だぞ」
「アーノルドは絶対に治るからな」
「何の心配もいらないぞ」
「だから見守っていてくれ」
 こう言ってだった、アーノル
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