第三章
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「学費免除だけじゃない、お前がそうしたいならな」
「そうしなさい」
二人で我が子に話した。
「私達のことは気にしないで」
「若しもなんて考えるな」
「怪我したらとかね」
「だからそうしたいならそうしろ」
「スカウト受けなさい」
「それじゃあ」
両親も言うならとだ、巧は頷いた。そうしてだった。
彼はスカウトを受けた、そしてその大学に進学した。京花もその大学に彼女の場合は普通に受験をして合格してだったが。
日々学業に励みつつ走る彼の傍に来て問うた。
「今は不安ある?」
「怪我をしたらどうなるかとかだね」
「そう考える?」
「いや、そうなっても」
若しもとだ、彼は答えた。
「それでも」
「その時はよね」
「あの子も頑張ってるんだ」
にゃんすのことを言うのだった。
「だから」
「そうよね」
「俺はやるよ」
こう言うのだった。
「怪我を治してまた」
「走るわね」
「そうするよ」
「そうね、それじゃあ」
「頑張るよ」
「にゃんすみたいに」
「あの子が頑張ってるなら」
それならというのだ。
「俺も同じだよ」
「その気持ち忘れないでね」
「ああ、絶対にな。それでにゃんすだけれど」
巧は自分から京花に彼のことを尋ねた。
「元気かな」
「元気よ、いつもね」
「そうなんだね」
「ええ、そんなに気になるなら」
笑顔でだ、京花は巧に話した。
「またうちに来てね」
「にゃんすに会って」
「そしてね」
それでというのだ。
「確めてね」
「俺自身で」
「そうしてね、いいわね」
「今寮にいるけれど」
そして部活に集中している、選手として専門的な訓練を受けているのだ。
「時間があったらね」
「そうしてね、じゃあ選手としても頑張って資格のことも」
「取るよ」
「どちらも頑張ってね」
「そうしていくよ」
巧は約束した、そして大学卒業まで選手でいて資格も取った。大学を卒業する時には母の持病はすっかりよくなっていた。
そしてにゃんすも三本足でもそれを思わせない位元気なままだった、巧は時々京花の家に来て彼を見ていつも励まされた。怪我をしても頑張っている彼を見て。そして資格を以て就職して京花と結婚してにゃんすと共に暮らしはじめた。そのうえでいつも元気を得た。
猫が頑張ってるのを見て 完
2021・8・23
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