暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第94話:戻る者と離れる者
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向かわせると、そこには気を失って倒れている翼が居たのだ。
クリスと透により医務室に担ぎ込まれた翼は程なくして目を覚ましたが、その彼女の口から出てきたのは思いもよらない言葉だった。
曰く、己を斬ったのは奏である…………と。
何かの間違いかと思ったが、その後ドローンのカメラに映った映像にグレムリンの乗るライドスクレイパーの後ろに乗る奏の姿が確認され、どう言う理由かは分からないが奏が翼を害した事は事実であるとなった。
奏が何故翼を斬ったのか? グレムリンに、連れ去られたと言うより自分からついて行った理由は?
分からないことだらけな状況に、響も未来を取り戻せた喜びもそこそこに心配せずにはいられなかった。
「こんな時に、あのペテン師は何処で何やってんだ?」
今この場に颯人の姿はない。翼の負傷と帰還、そして犯人が奏でありグレムリンについて行ったと言う話を聞いてから、何処かへと行ってしまったのだ。
奏が大変だと言う時に、彼は一体何処へ行ってしまったのか?
「颯人さん……」
この場に居ない颯人に対して、そして訳も分からず裏切った様にしか見えない奏を思い、響も表情を曇らせずにはいられなかった。
その肝心の颯人はと言うと、現在ウィズと共に居た。奏に起こった異常に関して話を聞く為だ。
今回の一件、奏の異変にはどう考えても魔法が関わっている。でなければ彼女が翼を害するなどする筈がない。
こういう時、頼りになるのはその道の専門家であり知識と経験が豊富なウィズだ。彼なら奏の身に起きた異変について何か知っているかもしれない。
「ウィズ、奏が何で連中の方に行っちまったか分かるか?」
「……私は天羽 奏を直接見ていない。話も全て又聞きだ。だから全て推測にしかならないが、構わないか?」
「十分だ、頼む」
今は少しでも情報が欲しい。例え確証に至るものではなくとも、何かしらを判断する為の材料が必要だった。
「恐らく……と言うか十中八九、魔法による洗脳だろうな」
「やっぱり……まさかとは思ってたけどよ。でも何でだ? 奏の奴はそんなあっさり操られちまうほど柔な精神してねえと思うんだけどな?」
そもそもジェネシスの魔法使いの大半はワイズマンにより洗脳されているので、奏も何かしらの方法で洗脳されているのだろうと言う予想はしていた。だが彼女の強さは颯人も、翼達もよく知っていた。その彼女が、魔法を使われたからと言ってそう簡単に洗脳されるとは颯人も信じられなかった。
「人間の心を切り崩す方法なんて幾らでもある。恐らく前々から彼女の心を崩す為に仕込んでいたんだろう。最近彼女におかしなところは無かったか?」
言われて颯人はハッとなった。確かにここ最近の奏には様子がおかし
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