暁 〜小説投稿サイト〜
八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百二十六話 歯は大事その五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「戦争から帰っても少し残っていたらしいんだ」
「ヒロポン中毒?後遺症?」
「後遺症ね、それで傷痍軍人で年金で暮らしてたそうだけれど」
 大阪の方におられたらしい。
「結婚して欲しいという人がいても断ったんだ」
「どうしてなの?」
「自分はヒロポンで廃人になったからってね」
「そう言ってなの」
「断わったそうなんだ、しかもこの人は生きて」
 そしてだ。
「弟さんは終戦直後喧嘩を止めに入って刺されて死んだらしいんだ」
「ご本人はで」
「自分みたいなヒロポンやった廃人が生きていて」
「弟さんはってなのね」
「いつもそう言ってたそうなんだ」
 畑中さんの戦友だった人はだ。
「そのお話が八条家にも入って」
「それでなのね」
「皆ね」
 一族の人は全員だ。
「お酒好きな人ばかりだけれど」
「麻薬、特に覚醒剤はしないのね」
「合法な国でもらしいよ」
 オランダではマリファナを配っていたりするけれどこの国でもらしい。
「それはね」
「徹底してるわね」
「その徹底している理由はね」
「そうしたお話を知ってるからなのね」
「戦争前は阿片のお話があったから」
 それでだ。
「しなかったらしいけれどね」
「戦後はなのね」
「こうしたお話を皆知ってるから」
「しないのね」
「畑中さんの戦友さんはいい人で結構顔もよかったらしいんだ」
 畑中さんの言われるにはだ。
「救護兵でね、けれど傷を受けて」
「痛みを逃れる為に」
「そうなってね、それで兄弟で一番性格よくてお母さんにも可愛がられていたっていう弟さんがね」
 妹さんが五人おられたそうだけれどこの人達のことは聞いていない。
「そうなったんだ」
「喧嘩を止めに入って」
「そしてね」
 当時は物騒な時代だったしだ。
「刺されてだったんだ」
「それで自分みたいなのが生きて」
「弟さんがって思われたそうで」
 それでだ。
「ずっと落ち込んでおられたそうだったんだ」
「それで畑中さんがその人となの」
「戦争が終わってもお付き合いがあったそうで」
「お話を聞いて」
「それで八条家にね」
「伝わったのね」
「うん、その人はもうお亡くなりになったそうだよ」
 これも畑中さんが言われていることだ。
「昭和五十年位に」
「五十代でなの」
「やっぱり生きる気力がなくなってたみたいだよ」
 そういうことがあったせいなのは僕も察しがついた。
「それでね」
「若くしてなの」
「うん、五十代位でね」
「そうしたお話聞いたら」
「覚醒剤とかやる気はなくなるね」
「ええ」
 香織さんもその通りだと答えてくれた。
「どうもね」
「世の中こうしたお話も結構あるかも知れないね」
 僕が思うにだ。
「覚醒剤じゃなくても」
「色々なことで」
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ