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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百二十六話 歯は大事その四

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「手を出してね」
「人間止めるとか」
「こんな馬鹿なことないよ」
 心から思うことの一つだ。
「本当に」
「そうよね」
「うちの一族ではやってる人いないよ」
「そんな馬鹿なことはしないのね」
「誰もね」
 そんな馬鹿な人はいないのだ。
「本当に」
「それはいいことね」
「昔からね」
「いないのね」
「煙草を吸う人は結構いたらしいけれど」
 今は喫煙派の人も殆どいない。
「麻薬は合法だった時も」
「おられなかったの」
「そうみたいだよ、覚醒剤は昔合法だったけれどね」
「ヒロポンね」
「普通に煙草屋さんで売っていたよ」
 台湾や満州では阿片も売っていた、ただこれは免許制であり新しい免許は出さず阿片の売り上げを医療とかに使うと言うかなり凄い政策だった。
「それでもね」
「使う人いなかったの」
「そうらしいよ、身体に悪いことはわかっていたから」
 当時からだ。
「一週間寝ないで済むとかね」
「尋常じゃないわよね」
「カフェインの比じゃないから」
 コーヒーやお茶の中のそれのだ。
「もうそれだけでだよね」
「身体にどれだけ悪いか」
「もう明らかだったから」
 それでだ。
「もうね」
「どの人も使わなかったのね」
「うん、麻薬はね」
 当然阿片とかもだ。
「合法だった時から」
「それはいいことね」
「織田作之助はやってたけれど」
 この人は有名だ。
「結核で余命幾許もないのに書いてたんだよ」
「そうなると」
「もうヒロポンを打って」
 このことは実は結核の薬を注射していたんじゃないかと言う人もいるけれど実際はどうなのだろうか。
「何とか奮い立ってね」
「書いていたのね」
「それで必死に書いて」
 そうしてだ。
「遂にね」
「死んだのよね」
「東京でね」
 昭和二十二年のことだ。
「大阪じゃなくて」
「大阪の人なのに」
「それでもだったんだ」
「大阪で死にたかったかしら」
「東京好きじゃなかったみたいだしね」
 一時期住んでいてすぐに見切りをつけて大阪に帰ったらしい。
「だからね」
「大阪でなのね」
「生まれも育ちも大阪だったから」 
 このことは開高建や司馬遼太郎も同じだ。
「そうだったろうね」
「そうだったのね」
「そうしたお話を聞いてもね」
「覚醒剤はやるべきじゃなくて」
「八条家ではね」
「昔からそうした人はいないのね」
「そうなんだ、特に今はね」
 非合法になっただけじゃなくてだ。
「織田作さんの話も聞いたしね他にもね」
「あるの」
「親父が言うには畑中さんの若い時、戦友だった人が戦傷の痛みから逃れる為にヒロポン打って」
 それでだ。
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