第二章
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次第に彼を遠ざけなくなった、意識して可愛がることはなかったがそれでもだった。
クウが部屋に入っても何も言うことはなくそれでだ、そのうえで。
ある日一家でクウとタマのご飯を買いに行った時にだ、両親はタマのご飯だけでなくその他のものもだった。
買おうと話した、そして。
おもちゃも買おうとなってまずはタマのおもちゃを買ったがさらにだった。
「さて、クウのおもちゃはな」
「何がいいかしらね」
「色々あるけれどな」
「どれにしようかしら」
「クウの?それじゃあ」
ここでだ、嘉穂は。
ふとクウの顔を思い出してそれでだ、犬用のおもちゃを見て両親に言った。
「これにする?」
「えっ、嘉穂が選ぶのか?」
「クウのおもちゃを」
「お前犬苦手だろ」
「だからクウの相手もしないのに」
「いや、何か一緒に暮らしていたら」
それならというのだ。
「最近別に邪険じゃなくなったから」
「それでか」
「おもちゃを選ぶの」
「そうしていいわよね」
「ああ、嘉穂がそうしたいならな」
「選んでね」
両親は自分達の娘に笑顔で応えた、そしてだった。
三人でおもちゃを選びそのうえで。
嘉穂がピンクの熊のぬいぐるみを選んでそれも買ってだった。
家に帰るとすぐに玄関にクウとタマが一家を出迎えた。
「キャンキャン」
「ニャンニャン」
「只今」
嘉穂が挨拶をしてそうしてだった。
自分が持っている買いもの袋からぬいぐるみを出してだった、そのうえでクウにぬいぐるみを与えた。そのうえで。
タマにもおもちゃをあげた、そのおもちゃは黒い熊のぬいぐるみでクウのものとお揃いの形になるものだった。
そのぬいぐるみをあげると二匹共大喜びだった、その彼等を見てだった。
嘉穂は一緒にいる両親に玄関を上がりながら言った。
「何かね」
「どうしたんだ?」
「何かあったの?」
「いえ、一緒にいてね」
彼と、というのだ。
「自然と笑顔になるわね」
「クウともだな」
「そうなのね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「これからはクウも犬も好きになるわ」
「そうするとクウも嬉しいからな」
「そうしてあげてね」
「ええ、そうするわ」
笑顔で言ってそうしてだった。
嘉穂はこの日からタマだけでなくクウも可愛がる様になった。ご飯を上げて散歩も行って楽しく過ごし。
それは高校を卒業し大学に入り就職しても同じだった、だから。
結婚して家を出る時に彼女はもうすっかりお爺さんとお婆さんになっている彼等に泣きながら言った。
「時々でも実家に帰って来るからね」
「キャンキャン」
「ニャンニャン」
二匹はそんな彼女を温かく見送った、そして彼女が夫そして自分の生まれたばかりの息子と一緒に家に帰
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